袋小路 1966年
物語
満潮時には外界と遮断される孤島の古城で理想の隠居生活を送ろうとする中年のブルジョワ男ジョージと若く美しい妻テレサ。そこへ見るからに凶悪そうな面相の何やらしでかして逃亡中の男が瀕死の相棒を連れて来った…
「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督が1966年に制作した映画。ベルリン映画祭で金熊賞を受賞。
モンサンミッシェルのように満潮時には陸地から孤絶してしまう孤島にある中世のお城。ここで隠居生活を送るジョージと若妻のテレサのところに、負傷した二人のギャングが逃げ込んで来ることからドラマが始まります。
ロケ地はイギリスのホーリーアイランドと言うところだそうですが、舞台設定が最高ですね、強盗か何か詳しく分かりませんが、ヤマを外して負傷した二人のギャングがこの島を逃げ込んできます。一人は腹を撃たれて瀕死の状態、一人は腕を負傷していています。これから何が起こるのだろうか期待させる冒頭のシーン、つかみ"がいい。
この城に住むジョージとテレサ。ジョージはブルジョワのようですが、先妻と分かれて、理想の隠居生活を送るために全財産をつぎ込みこの城を買ったようです。若妻テレサはジョージの財産を目当てに結婚したのだと思いますが、自家製の酒を作ったり、鶏小屋を作ったりと気ままに暮らしていますが、この島の生活に飽きているようです。この島に逃げ込んだギャングと同様、ジョージとテレサにとっても人生の袋小路という皮肉な状況がある。それぞれが陥った袋小路、この3人のドラマ、面白くない訳がない。
この映画、鳥がよく出てきます。小屋から放たれた鶏、気ままに飛ぶカモメ。この映画のシンボルです。この映画のテーマは自由。束縛からの解放なんでしょうね。
この映画のエンディングは色々な解釈があるかと思いますが、僕的にはハッピーエンドだと思います。アイロニーですが、ギャングとジョージとテレサ、それぞれ袋小路から抜け出して自由になったのかなと思います。
観終わった後に「ヤラれた」と言う感じ。ポランスキーは天才だな。良かった!
※今年27本目の映画鑑賞。