金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

フルメタル・ジャケット

フルメタル・ジャケット    1987年

スタンリー・キューブリック監督

物語

ベトナム戦争に従軍するべく、兵士に志願したアメリカの若者たち。その訓練所では、地獄のような非人道的教練が行われていた。そこでのさまざまな経験、そして戦地に渦巻いていた狂気は、彼らの精神を容赦なく蝕んでいく。

f:id:tomo2200:20211025001454j:image

グスタフ・ハスフォードの小説「ショート・タイマーズ(短期現役兵)」をスタンリー・キューブリック監督が映画化。グスタフ・ハスフォードは本作の脚本にも参加した。

f:id:tomo2200:20211025124448j:imagef:id:tomo2200:20211025155955j:image

前半では海兵隊訓練所で新兵が受ける過酷な訓練、後半では彼らのベトナムでの行動が描かれています。前半の海兵隊の訓練の方はシャイニングみたいなインパクトがありました。

f:id:tomo2200:20211025153446j:image

後半、戦闘シーンが控えめですが、戦争の残酷さや狂気が伝わります。

f:id:tomo2200:20211025153539j:imagef:id:tomo2200:20211025153547j:image

映画のラストについて、キューブリックは主人公のジョーカーが死ぬ結末を考えていたそうです。脚本に参加していたマイケル・ハーが反対し最終的には死は描かれていませんが、エンドロール曲の"Paint It, Black"が行軍する兵士達の不吉な未来を感じさせます。

f:id:tomo2200:20211025154830j:image

この映画が公開されたのが1987年。日本人には「今さらベトナム戦争?」というタイミングですがアメリカ人にとって戦争は終わっていなかったのですね。この後、湾岸戦争からアフガンまでアメリカの戦争は続きます。

ヘルメットに"Born to Kill"、胸にピースマークをつけたジョーカーがアメリカの二重人格的な戦争を象徴しているようです。

※今年65本目の映画鑑賞。