斬る 1968年
岡本喜八 監督
物語
江戸末期、天保四年。上州小此木藩では、その圧政と悪政に耐えかねた正義に燃える七人の武士が、城代家老を襲って斬った。次席家老鮎沢はこの機に藩政をわがものにせんと、七人の武士を討つべく、凄腕の剣客、源太と半次郎を武士たちの潜む砦へと差し向けるが・・・。
山本周五郎の「砦山の十七日」を原案に、岡本喜八、村尾昭が脚本化した娯楽時代劇。主演は仲代達矢、高橋悦史ら。
随所に黒澤明を思い起こさせる演出があり、岡本喜八監督の黒澤監督に対するリスペクトを感じるが、映画を公開した時期を考えると60年代後半に芸術志向から大衆性を失い、映画界の権威と化した黒澤監督に対するアンチもあったのかもしれないですね。
侍が嫌になりヤクザになった源太と、侍になりたくて田畑を売った半次郎。二人の対比と軽妙なかけあいがユーモラスです。仲代の飄々とした演技やセリフには時代劇には異質なモダンさがあって、岡本喜八らしいコメディセンスが活きてます。
痛快時代劇、黒澤明監督を彷彿させる力強い演出、原作や脚本も良く、面白い。なかなかの傑作でした。👏
※今年66本目の映画鑑賞。