赤めだか / 立川談春
扶桑社
【物語】
17歳で天才落語家・立川談志に入門。両親の反対により新聞配達をしながら、「上の者が白いと云えば黒いもんでも白い」世界での落語家前座修業が始まる。三日遅れの弟弟子は半年で廃業。なぜか築地市場で修業を命じられ、一門の新年会では兄弟子たちがトランプ博打を開帳し、談志のお供でハワイに行けばオネーサンに追いかけ られる……。様々なドタバタ、試練を乗り越え、談春は仲間とともに二ツ目昇進を目指す!
最近(何年も)小説を読んでなくて、久しぶりに活字で物語を追いました。立川談春の自叙伝ですが、師匠 立川談志のエピソードやユニークな兄弟弟子らの青春群像が面白い。本作は2015年に、二宮和也、ビートたけし主演でテレビドラマ化され話題となった。
落語、よく聞きます。昔からのファンではなくて、ちょうどコロナが流行し始めて社会全体が暗い雰囲気のとき、外出先もなく、なにか癒しのようなものを求めて聞きだしました。まだ落語ファン歴3年目と言うところです。
初めは噺家を知らなくて、図書館で偶然に手にしたのが、古今亭志ん朝だったのですが、誰からも好かれるような明るい落語で、初心者にも分かりやすく入門には最適だったと思います。その後、いろいろな噺家の落語を聞いていますが、やはり立川談志は避けて通れません。理屈っぽくて好き嫌いが分かれそうですが、伝統的な落語を、現代に通用するパフォーマンスに革新した天才だと思います。
「赤めだか」のラストの章は、談志の師匠の小さんのエピソードが語られる。小さんの稽古を受けた談春が、稽古の仕方、進め方が、談志の稽古とそっくりと驚くのだ。芸を受け継ぐことの深淵さを感じる。落語が生きた芸として次の時代にも残っていって欲しいと思う。
おしまい。