金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

家族の肖像

家族の肖像       1974年

ルキノ・ヴィスコンティ監督

物語

ローマの豪邸にひとり静かに暮らす老教授。その邸宅には、18世紀イギリスで流行した「家族の肖像」という家族の団らんを描いた絵画が飾られている。そこへブルモンティ夫人とその愛人、夫人の娘らが転がり込んでくる。当初は平穏な生活を阻害されたと感じた老教授だったが、次第に彼らに興味を抱き始める。

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イタリアの名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の名作。監督の健康上の問題から、ドラマは全編主人公の教授の室内で撮影されている。

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突然、入り込んできた家族によって一変する老教授の心境の変化を描いた作品。この作品は日本ではヴィスコンティの死後1978年に岩波ホールで公開され大ヒットし、ヴィスコンティやミニシアターブームを巻き起こしました。

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貴族階級ヴィスコンティが生み出す上流階級の美意識と退廃感、バイセクュアルを公言していたヘルムート・バーガーの美しさが印象的でした。

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老教授の孤独と家族への憧憬がテーマになっていますが、監督の、老いと若さ、生と死、美や、エロチシズムなど、様々な哲学を感じさせる奥行きの深〜い作品でした。

ヴィスコンティはまだ「ベニスに死す」と本作しか観ていないのですが、とっつきにくい監督ですね。

※今年31本目の映画鑑賞。