血と砂 1965年
岡本喜八監督
物語
昭和20年夏の北支戦線で、歴戦の勇者・小杉曹長(三船敏郎)は佐久間大尉(仲代達矢)の命により、八路軍の猛攻によって全滅したヤキバ砦の奪還に向かった。従えるは、何と軍楽隊の少年兵たち。今まで楽器しか持ったことのない彼らを叱咤激励しながら、小杉は砦の奪取に成功するが…
岡本喜八監督作品。軍楽隊の少年兵が戦う異色戦争アクション。三船敏郎、仲代達矢、団令子らが主演。
戦争をシニカルな笑いで描く岡本喜八監督の作品。三船敏郎、仲代達矢、団令子らの出演は、黒澤明監督へのリスペクトなのだろう。作品中にも「葬儀屋」と呼ばれる兵士が出てきてニヤっとさせる。
岡本喜八監督のオリジナリティを強く感じるのは音楽隊の少年兵たち。戦場でディキシーランド・ジャズというナンセンスさが、戦争自体の愚かさに対する痛烈な皮肉になっている。戦争と音楽は監督が後年に発表した「ジャズ大名」ともつながる。
映画はフィクションで荒唐無稽だが、戦争末期に学徒動員で集められた若者は、このドラマの若者と大して変わらないだろう。戦地で散った若い兵士を思うと、戦争の惨たらしさを強く感じる。
※今年49本目の映画鑑賞。