もう年末。一年が早いなぁ。
今年観た邦画の個人的なベスト10。
1.飢餓海峡
内田吐夢監督(1964年)原作は水上勉原作の小説。サスペンスドラマだが、誰もが生きることに精一杯だった戦後の混乱期という時代背景に起きた事件には、この時代を生きた人ならば感じる深い哀しみがある。三國連太郎、左幸子の熱演、内田吐夢監督の演出も素晴らしかった。
2.ドライブ・マイ・カー
濱口 竜介監督(2021年)カンヌ国際映画祭で脚本賞、アカデミー賞の外国映画部門を受賞した作品。愛する者と死に別れた哀しみと再生が描かれたヒューマンドラマ。10年に一本くらいの傑作。濱口監督、若いのに深い。
3.切腹
小林正樹監督(1962年)「切腹」題材にした異色時代劇。悲劇的なストーリーだが後半には剣劇もあるエンタメ。武士道を見栄と虚構と切り捨てる。この映画、とにかく仲代 達矢の緊張感ある演技が素晴らしい。
4.犬神家の一族
市川崑監督(1976年)角川映画第一弾として制作された作品。市川崑監督自身がミステリー好きだそうだか、後の金田一耕助シリーズの原型になるような名作に仕上がっている。石坂浩二の爽やかな演技もいい。
5.血と砂
岡本喜八監督(1965年)作戦に投入されて玉砕する音楽隊の兵士達の悲喜劇。三船敏郎、仲代達矢、団令子と黒澤映画の名優が揃う。反戦とエンタメと音楽。岡本喜八監督の鬼才ぶりが伺える作品でした。
6.さかなのこ
沖田修一監督(2022年)さかなクンを女性の能年玲奈(のん)が演じる、自伝なのにファンタジーな不思議な映画でした。沖田修一監督は「子供はわかってあげない」「横道世之介」など過去作品も良かったです。
犬童一心監督(2003年)田辺聖子の短編恋愛小説を妻夫木聡・池脇千鶴主演で映像化。池脇千鶴の個性的な演技が印象に残ります。タイトル自体がミステリーみたいで面白い。
8.ベイビー•ブローカー
是枝裕之監督(2022年)、第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門正式出品作品。是枝裕之監督のテーマでもある擬似家族や共生の描かれた作品。随所に素敵な演出もあったけど人物に共感が持てなかったな。
9.すずめの戸締まり
新海誠監督(2022年)タイトルが日本昔話みたいで期待してなかったのですが、アニメとしての楽しさやロードムービーを取り入れたストーリー展開など監督の意気込みを感じさせる素晴らしい作品でした。
安彦良和監督(2022年)テレビシリーズの一話を映画として再脚本した作品。古谷徹のアムロが懐かしかった。ククルス•ドアンとの交流で成長していくアムロの姿に、シリーズで失われた機動戦士ガンダムの面白さを再認識しました。
ドライブ・マイ・カーがアカデミー賞を受賞。若い監督が成長してきて邦画も面白くなってきそうです。
以上、今年観た邦画ベスト10でした。