金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

ドイツ零年

ドイツ零年        1948年

ロベルト・ロッセリーニ監督

物語

第三帝国滅亡後、廃墟となったベルリンを徘徊する13歳の少年エドムンドは、間借りの部屋に病身の父と、身を売って生計を立てる姉と共に暮らし、自分もいくらかの足しにと小銭稼ぎをしていた。軍隊にいた兄が帰還するが、ナチ党員であったことを表沙汰にするのを恐れ、閉じこもってばかりいる。エドムントは、ある日は小学校時代の先生に会い、彼からナチの弱肉強食の理論を吹き込まれる‥

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↑全編Youtubeで鑑賞できます。

ネオ・レアリスモの巨匠ロッセリーニ監督が1948年に発表し「無防備都市」「戦火のかなた」に続く戦争三部作の最後の作品。

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敗戦で荒廃するベルリンの窮乏と道徳的崩壊。家計を助けるために働こうとする12歳の少年が社会の毒に染まり破滅していく姿が痛々しい。

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トリュフォー「大人は判ってくれない」に雰囲気が似ていると思ったら、トリュフォー自身が「ドイツ零年」に影響を受けたと名言していました。

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破局的なエンディング、街を彷徨う少年を捉えたカメラワークの斬新さなど、ネオ・リアリズムと言うよりヌーヴェル・ヴァーグ作品のようです。ロッセリーニ監督の映画、今まで観てなかったけどいいですね。

※今年14本目の映画鑑賞。