幕末太陽傳 1957年
川島雄三監督
物語
江戸末期、品川宿の遊郭「相模屋」へ、仲間と繰り出した佐平次。翌朝、一文なしの佐平次は居残りを決め込み、店の雑用一切を引き受けることに。高杉晋作から勘定のカタを取るなど、佐平次は八面六臂の活躍をする。そんな佐平次をめぐって、女郎のこはるとおそめがにらみ合いをするようになり……
宝塚の演目になったりして、結構、有名な作品なんですね。デジタル修復版が発売されています。
当時流行語だった太陽族(無軌道な若者たち)がタイトルの由来。高杉晋作役に石原裕次郎が出演していてる。
作品は「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」「お見立て」などの古典落語を翻案して作られている。。ちなみに「居残り」とは、当時の遊郭において代金を支払えなかった場合、代わりの者(家族など)が代金を支払うまで、その身柄を拘束したことを言うそうです。
川島雄三さんは今村昌平の師匠にあたる人で、人間の本性をシニカルかつ客観的な視点で描く喜劇は弟子の今村昌平の作品ともども「重喜劇」と称される。
この映画の佐平次も単なるお調子者ではなく、渡世人のような陰影がある。
死を予感させる咳をしながらも「地獄も極楽もあるもんかぃ、俺はまだまだ生きるんでぇ!」と啖呵を切って去っていくラストシーンは時代の荒波の中を強かに生きる庶民を象徴するようです。
これは名画ですね。品川遊郭の賑わいや幕末の混沌とした雰囲気が良く出ていて、フランキー堺や石原裕次郎、南田洋子や左幸子ら役者の演技も良かった。
※今年227本目の映画鑑賞。