金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

六人の嘘つきな大学生

六人の嘘つきな大学生   2024年

佐藤祐市監督

物語

人気エンタテインメント企業の新卒採用で最終選考に残った6人の就活生。「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨む」という課題を与えられた彼らは、全員での内定獲得を目指して万全の準備で選考の日を迎えるが、急な課題の変更が通達される。6人の中で勝ち残るのは1人だけで、その1人は彼ら自身で決めるというのだ。

f:id:tomo2200:20241201000714j:image

浅倉秋成による大ヒットミステリー小説を映画化した密室サスペンス。六人の大学生を浜辺美波赤楚衛二佐野勇斗山下美月、倉悠貴、西垣匠、が演じる。ロードショー中。

f:id:tomo2200:20241201110329j:image

f:id:tomo2200:20241201110249j:image

原作や事前情報を全く無しで鑑賞したのです。タイトルからコンゲーム的なコメディを想像していたのですが、就職面接で起きた事件を謎を解く「犯人は誰だ」のミステリー作品でした。💦

映画としてはテンポ良く展開して退屈せずに楽しめました。「十二人の怒れる男」的な会議室サスペンスと、8年の歳月を経て明らかになる登場人物の表裏がドラマの見どころになります。

f:id:tomo2200:20241201110238j:image

映画で気になったのは、嶌衣織( 浜辺美波)封筒の中身が明かされなかったことです。すっきりせず調べてみたら、原作小説では彼女の隠していた事実も明かされています。小説と映画で他にも細かな違いがあるようですが、「六人の嘘つき」で「五人だけ」は酷い改変だと思います。😢

※今年19本目の映画鑑賞

 

 

家族の波紋

家族の波紋       2011年

ジョアンナ・ホッグ監督

物語

裕福な家庭で育った青年エドワードは、アフリカで1年間ボランティア活動に従事することに。彼が出発するまでの間、家族は母パトリシアの提案でシリー諸島にある別荘で過ごすことになり、エドワードと姉シンシア、料理人ローズと絵画教師クリストファーがやって来るが、父だけは姿を見せない。優雅な日々を過ごす一方でどこか不安な空気が漂うなか、ついに姉が感情を爆発させたことで、家族が抱えてきた問題が浮かび上がってくる。

f:id:tomo2200:20241124152241j:image

アベンジャーズ』、『マイティ・ソー』のトム・ヒドルストンが初主演した家族ドラマ。ビドルストンは主人公の青年役を繊細に演じています。

f:id:tomo2200:20241124163548j:image

アフリカへ旅立つ息子の送別の為に、家族旅行でシリー諸島の別荘に過ごす家族の話。楽しいはずの旅行であるが、なぜか重苦しくギスギスした雰囲気が漂う。母と姉、そして一人息子。寂しげな島の景観は、家族のこころの風景を映し出しているようだ。

f:id:tomo2200:20241124163523j:image

f:id:tomo2200:20241124165147j:image

このドラマの事件は、ネタバレしますが、家族の旅行に父親が現れないことです。母親との関係は語られませんが、父親は子供の面倒を見てこなかったようです。

f:id:tomo2200:20241124170158j:image

あるシーンで画家が絵を描く際に、「青色を描かないと周囲の空間が青く見えてくる」と語るセリフがあります。この家族と父親の過去の確執は描かれませんが、そのことが、母、姉、弟の心理を深く描き出していることを比喩しているようです。

f:id:tomo2200:20241124170221j:image

いい映画でした。👏 

他のレビューを読むと、 「トム・ヒドルストンを目当てに見たけど、退屈なストーリーで眠くなった」とか、「引きの固定カメラの撮影が素晴らしい」とか、「島の風景に癒された」とか、いまいち褒められてない😭。いやいや、そんな凡作ではないですよ。脚本の素晴らしさ、それを伝える写真の上手さなど、しっかり観てやってください。

※今年18本目の映画鑑賞

 

 

If もしも....

If もしも....                     1968年 

リンゼイ・アンダーソン監督

物語

英国で500年の伝統を誇る全寮制のパブリック・スクール。厳しい校則や威張り散らす上級生たちに嫌気がさした主人公ミックは、仲間のジョニーとウォレス、さらに下級生の美少年やコーヒーショップで働く少女とともにある計画を企てる。

f:id:tomo2200:20241119215111j:image

ブリティッシュ・ニュー・シネマの旗手リンゼイ・アンダーソン監督が1969年のカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した衝撃の問題作。本作を観たスタンリー・キューブリック監督は、主演のマルコム・マクダウェルを『時計じかけのオレンジ』(72)に起用した。

f:id:tomo2200:20241119225047j:image

戦後べピーブーマーたちが権威的な社会や文化に反発して起こした反対運動やカウンターカルチャーのムーブメントなど、60年代の社会の空気を感じる。

f:id:tomo2200:20241119230928j:image

f:id:tomo2200:20241119230917j:image

時代の空気がフィクションに緊張感を与えている作品ですね。ニューシネマ、というスタイルが娯楽を超えたメッセージを伝えていて、面白かったです。

※今年17本目の映画鑑賞

 

 

エル・シド

エル・シド       1961年

アンソニー・マン関東

物語

11世紀、ムーア人の侵略に脅かされるスペイン。若き勇将エル・シドは、恋人シメンの父親を死に至らしめ、また王位継承の争いに巻き込まれて追放の身となる。その直後スペイン滅亡の危機が訪れ、彼は祖国のために立ち上がるのだった…

f:id:tomo2200:20241021104156j:image

11世紀後半のレコンキスタで活躍したカスティーリャ王国の貴族エル・シドことロドリーゴ・ディアス・デ・ビバールの生涯を描いた作品。チャールトン・ヘストンソフィア・ローレン出演。190分のスペクタクル大作。

f:id:tomo2200:20241021105850j:image

十戒」「ベン・ハー」の チャールトン・ヘストンと、イタリアが産んだ国際的スターのソフィア・ローレン

f:id:tomo2200:20241021111657j:imagef:id:tomo2200:20241021111724j:image

エル・シド、意味は「我が主人」。ムーア人の脅威からスペインを救った、中世の英雄的な騎士。映画を観て、どこまでが史実なのか気になったが、波瀾万丈な人生で面白い映画だった。

※今年16本目の映画鑑賞。

 

 

シビル・ウォー アメリカ最後の日

シビル・ウォー アメリカ最後の日 2024年

アレックス・ガーランド監督

物語

連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている――」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていく―

f:id:tomo2200:20241013000639j:image

A24製作作品。監督は アレックス・ガーランド。内戦の勃発により戦場と化した近未来のアメリカを舞台に、最前線を取材するジャーナリストたちを主人公に圧倒的没入感で描いたアクションスリラー。

f:id:tomo2200:20241013090753j:image

f:id:tomo2200:20241013090803j:image

政治的な分断が問題となっているアメリカ社会、フィクションでありながらリアリティを感じさせる。大統領政府と対立する西側勢力の政治的な主張は語られないが、大統領は自国民を空爆して非難されている。

f:id:tomo2200:20241013092204j:image

f:id:tomo2200:20241013092212j:image

ドラマは、スクープを撮影しようと戦地DCへ向かうジャーナリストの視線から描かれる。

f:id:tomo2200:20241013122846j:image

映画を観て「地獄の黙示録」を思い出した人も多いのではないかと思う、が最大の賛辞になるかと思う。実際のところ期待外れな感じがした作品だが、フィクションの中に時代を映し出した作品として高く評価したい。

※今年15本目の映画鑑賞。

 

雑記 : 宇宙戦艦ヤマト:50周年記念

今日、宇宙戦艦ヤマト50周年記念の特別上映会を観に行きました。

f:id:tomo2200:20241006221146j:image

1974年10月6日、7時半にテレビ放映された、同時刻からの企画上映は劇場公開の後に8ミリフィルムで編集、販売された「宇宙戦艦ヤマト」というもの。

f:id:tomo2200:20241006221636j:image

庵野秀明、2199監督の出渕 裕、アニメ研究家の氷川竜介のトークイベント。かなり、オタク話だったけど、庵野監督がこの場で、宇宙戦艦ヤマトの製作権利を得たことを発表しました。いよいよ「シン・ヤマト」が観れるかもしれません。

f:id:tomo2200:20241006222944j:image

会場、庵野秀明ファンの若い人もいたけど、ほとんど50、60歳台。当時のファンの同窓会みたいでした。

おしまい

ブルース・ブラザース2000

ブルース・ブラザース2000        1998年

ジョン・ランディス監督

物語

18年の刑期を終えて出所したエルウッドは、相棒ジェイクの死を乗り越えてバンドを再結成しようと決意。孤児のバスターを新しい相棒に、昔の仲間たちを集め、130歳のブードゥーの妖女が主宰する勝ち抜きバンド合戦に向けて出発する。警官隊や過激な右翼団体に追われながらも、どうにか目的地のルイジアナにたどりついたエルウッドたち。

f:id:tomo2200:20241006022744j:image

ブルースブラザースの続編。ジョン・ベルーシが亡くなったことから、ドラマでもジェイクが亡くなっていて姿を見せない。どうしても湿っぽくなるが、前作同様にパワフルなステージを見せるブルース・ブラザースダン・エイクロイドが新たなメンバーとブルースバンドを組んで活躍する。アレサ・フランクリンジェームス・ブラウン、BBキングやエリック・クラプトン他、豪華ゲストが出演する。

f:id:tomo2200:20241006160504j:image

f:id:tomo2200:20241006182355j:image

ストーリーは他愛無いコメディだが、とにかくR&Bへの愛情が溢れる。この映画の主役は音楽です。

※今年14本目の映画鑑賞。