金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

ロープ

ロープ                                  1948年

アルフレッド・ヒッチコック監督

物語

舞台はマンハッタンにある、とあるアパートの一室。完全犯罪を完結させることにより、自分たちの優位を示すために殺人を犯したフィリップとブランドン。彼らは、殺人を犯した部屋に人を呼んでパーティを開く、というスリルを楽しみさえするが……

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パトリック・ハミルトンの舞台劇の映画化。ヒチコック監督初のカラー作品。主演はジェームズ・スチュワート

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フィリップとブランドン。ニーチェの超人思想の信奉者で、完全犯罪を遂行することで自分たちの優越性を立証できると考えている。この二人は1924年に実際に起きた少年の誘拐殺人事件・「レオポルドとローブ事件」を元にしている。

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被害者の両親や恋人を招待し、殺人を犯した部屋でパーティを開催する。死体を隠したチェストの上に料理を出したり、殺人に使ったロープで本を縛って両親に渡すなどして、優越感に浸る犯人。

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パーティに呼ばれた教師ルパートは部屋で被害者デイビッドの帽子を見つけ、二人の行動の異常さから、行方不明になったデイビッドが二人に殺されたのではないかと疑い始める。

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この映画でヒチコックは長回しで全編をワンカットに編集という実験的な試みをしています。舞台劇の良さと映画の良さがミックスされたような感じでしょうか。スリル感があります。

※今年39本目の映画鑑賞。

ピグマリオン

ピグマリオン                          1938年

アンソニー・アスキスレスリー・ハワード監督

物語

音声学の教授であるヘンリー・ヒギンズが、強いコックニー訛りを話す花売り娘イライザ・ドゥーリトルを訓練し、大使のガーデン・パーティで公爵夫人として通用するような上品な振る舞いを身につけさせることができるかどうかについて賭けをする。ヒギンズはこのために最も重要なことは、イライザが完璧な話し方を身につけることであると考えてこれを教授するのだが…

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ジョージ・バーナード・ショーの戯曲をショー自らの脚色で映画化した作品である。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の原作にもなっています。

タイトルの「ピグマリオン」は、ギリシア神話に登場するキプロス島の王の名前で、彼は自らが彫刻した女性の彫像ガラテアを愛してしまったそうです。ヒギンズ教授を神話のピグマリオンを重ねています。

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映画を観て改めて思ったのはイギリスは階級社会なのですね。最下層の女性が上流階級のレディに変身するのは、階級社会に対する皮肉も入っています。差別を笑いにした作品です。

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マイ・フェア・レディ」とストーリーは同じですが、オードリーを主役にした「マイ・フェア・レディ」に比べて、主役のバランスはヒギンズ教授より。ドラマを楽しむなら「ピグマリオン」の方がお勧めですね。

※今年39本目の映画鑑賞。

 

大きな鳥と小さな鳥

大きな鳥と小さな鳥                1966年

ピエル・パオロ・パゾリーニ監督

物語

父親のトトと息子のニネットは街へ行くため郊外の道を歩いていた。 途中、不思議なカラスが二人を呼びとめ、そのまま合流する。 おしゃべりだが左翼のインテリでもある彼は、 大昔、聖フランチェスコの使いとして鳥たちに神の福音を伝えた修道士チチッロの話を聞かせる。 なおも歩き続ける二人は様々な出来事に遭遇していき…

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「奇跡の丘」「ソドムの市」の鬼才ピエル・パオロ・パゾリーニが1966年に手がけた作品。主演はイタリアの喜劇俳優トト、ニネット・ダボリ。音楽はエンニオ・モリコーネ

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ローマ郊外を歩く親子トトとニネット。シュールでナンセンスな、ロードムービー風のコメディ。言葉をしゃべる不思議なカラスが現れ、1200年前の修道士のチチッロとニネット(トトとニネット)の話を語る。

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トトという俳優は私も知らなかったがイタリアではチャップリンにも並ぶ喜劇俳優。とぼけた味のある演技が印象的。

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イタリア共産党 トリアッティの葬儀(実写)のシーンもある。映画に寓話的な含意や政治的な風刺がある。

細かなと意味はわからなかったのだが、どこへ向かうかもわからず歩く二人は、混沌とした時代を生きる大衆を描いているのだろう。

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ナンセンスで面白かった。トトと二ネットの親子は、どこかイタリア版、天才バカボンみたいな感じでした。

※今年38本目の映画鑑賞。

 

心の旅路

心の旅路                        1942年

マービン・ルロイ監督

物語

第一次大戦の後遺症で記憶喪失になった男は踊り子ポーラに助けられる。二人は愛し合い結婚。出先のリバプールで交通事故に遭った彼は昔の記憶を取り戻すが、ポーラと暮らした日々を忘れてしまう。実業家となった彼を見つけたポーラは秘書として近づき、真実を伝えようか迷うが...

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原作は「失われた地平線」、「チップス先生さようなら」などのジェームズ・ヒルトン作の小説。

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記憶を喪失した男とのラブロマンス。記憶喪失を題材にした映画はたくさんありそうだが、これがオリジナルかな。

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秘書として実業家チャールズ・レイニア(スミス)に近づくポーラ。しかしスミスはポーラを見ても何の感情も示さない。彼女は悲しみに打ちひしがれるが、いつか記憶を取り戻すことを信じて秘書業務に励む。

そしてスミスは国会議員になる。社会的な体裁のためにポーラに形式上の夫婦になって欲しいと頼む。残酷な申し出にポーラは深く傷つくのだった。

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ある事をきっかけに記憶を喪失していた頃を次第に思い出す。スミスは断片的な記憶をたぐりながら遂にポーラと暮らした家に着く。

ラストシーンがいいんだな。心に残る名画。感動しました。👏

※今年37本目の映画鑑賞。

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb  2012年

伊藤匡史監督

物語

ベテラン詐欺師のタケと、どこかマヌケな相棒のテツ。ある日、ひょんなことから、まひろという少女と知り合ったのをきっかけに、二人は彼女と姉のやひろ、その恋人の貫太郎と共同生活を送るハメになってしまう。全員が不幸な生い立ちを背負っていたこともあり、彼らは次第に奇妙な絆を育んでいく。そんな中、タケが過去に自分が引き起こした事件が深く関わった大勝負に挑むことになる。テツやまひろたちも一致団結し、一大詐欺作戦が動き出すが……

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直木賞に輝いた作家、道尾秀介の小説を実写化。タイトルの「カラス」とは「詐欺師」を意味する。

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主演は阿部寛村上ショージ阿部寛はいい俳優ですね、映画が締まります。村上ショージは意外ながら役に合っていました。ナイスなキャスティング。

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ヒロイン姉妹は、石原さとみ能年玲奈

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能年玲奈はまだ新人。「あまちゃん」でブレイクする前ですが凄い存在感。

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痛快なコンゲームを期待すると肩透かしを食った気分になるかも。”トリック”のあるミステリー作品です。

ストーリーも面白いが、なにより阿部寛らの好演が印象的でした。

※今年36本目の映画鑑賞。

WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

WOOD JOB!~神去なあなあ日常~   2014年

矢口史靖監督

物語

大学受験に失敗し高校卒業後の進路も決まっていない勇気は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することに。向かった先は、携帯電話が圏外になるほどの山奥のド田舎。粗野な先輩ヨキのしごき、虫やヘビの出現、過酷な林業の現場に耐え切れず、逃げようとする勇気だったが……

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三浦しをんの小説「神去なあなあ日常」を映画化した青春ドラマ。主演は、染谷将太長澤まさみ伊藤英明。ロケ地は三重県美杉町。

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林業を舞台とした映画です。都会で育った若者が、携帯も通じない山村に行き、村の人々と交流や様々な経験を通して成長する話です。

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長澤まさみが可愛いかったが、恋愛ドラマとしては物足りないかな。もっとドキドキするシーンがあっても良かったと思う。

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波乱の少ないドラマですが、コミカルなタッチで退屈はしない。原作ありの作品ですが、矢口監督らしさは十分に出ていたと思います。

※今年35本目の映画鑑賞。

華氏119

華氏119                         2018年

マイケル・ムーア監督

内容

「119」はドナルド・トランプが第45代大統領が当選を確実とし勝利宣言をした「2016年11月9日」を意味している。アメリカの特殊な選挙制度や現在の経済状況、トランプを当選させたアメリカ社会に対し鋭く切り込んだドキュメンタリー作品。

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トランプ大統領を戦前のドイツのヒトラーの台頭に重ねて批判しているが、トランプ政権を誕生させた民主党政権の保守化も厳しく批判していて、頼りにならない議員をよそに、立ちあがる学生や女性などが紹介されていた。

共和党民主党も批判したせいか、興行的には振るわなかったみたいですね。

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アメリカは不平等で不公平な社会ですね。人種や宗教の問題もあって複雑で根深い。大統領選挙は「天下分け目の戦」ですかね。

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日本はなんだかんだ言って均質な社会、社会の分断や対立はアメリカほど深刻ではない。まあ幸せな国とも言えますが、その分、ダイナミックな変化が起きにくいのかもしれませんね。

※今年34本目の映画鑑賞。