金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

宮崎アニメの終着点

風立ちぬ  2013

風立ちぬ [DVD]

実在の人物である堀越二郎をモデルに描いたフィクション作品で、堀辰雄の小説『風立ちぬ』からの着想が盛り込まれている。

 

宮崎監督はこの作品を最後に長編アニメ制作から引退すると宣言した。後にこの宣言を撤回するのだが、一応、この作品が、宮崎アニメの終着点となる。

 

不思議な映画である。宮崎監督はこの作品で初めて生身の人間を描いているのだが、何か現実感がない、ファンタジーの延長線上にあるかのような感じだ。飛行機設計の夢を追い続けた主人公の人生がアニメ制作を追い続けた宮崎監督の人生にも重なる。

 

作品のメッセージを消化できないまま、エンディングのユーミンの「紙飛行機」で飲み込む。そんな映画だ。宮崎監督の歳になって観たら、また別の見方ができるかもしれない。