馬鹿が戦車でやって来る 1964年
山田洋次監督
物語
静かな海に面した日永村のはずれに、少年戦車兵あがりのサブ(ハナ)が、耳の不自由な母と、ちょっと頭の弱い兵六と暮らしていた。長者の仁右衛門をはじめ、村の者から仲間はずれにされていたが、仁右衛門の娘・紀子(岩下)はサブの一家に同情的だった。病床にあった紀子の全快祝いに招かれたサブだが、仁右衛門に追い返される。また、母親は村会議員に騙されて土地を手放してしまう。ついにサブは戦車に乗って復讐を!!
山田洋次監督、ハナ肇主演。「馬鹿まるだし」「いいかげん馬鹿」「馬鹿が戦車でやって来る」、馬鹿シリーズの第三作目。
釣り船の船長(東野英治郎)が、日永村で起きた伝説的な事件を釣り人に語るかたちで物語が始まる。
マドンナ役の紀子さん、純情で向こう見ずなサブ。「男はつらいよ」のような人情喜劇ですが、スラップスティックのテイストが強い映画です。
「こち亀」の秋本治さんが若い頃に感銘を受けた映画だそうです。
漫画でも、大原部長が怒って戦車でやって来るギャグがありますね。
今では巨匠の山田洋次監督がこんなシュールな喜劇を作っていたのは驚きですが、まだ若い山田洋次監督の才能を見い出したのはハナ肇の方だそうです。ハナ肇のプロデューサーとしての才能には恐れ入ります。
大騒動を起こしたサブが何処へ行ったのかは誰も知りません。サブがいなくなり村は平和になりますが、愛すべき「馬鹿」が去った寂しさが残ります。こういうヒューマニズム感覚は、山田洋次監督の持ち味ですね。なかなか良い映画でした。
※今年207本目の映画鑑賞。