ベニスに死す 1971年
物語
1912年、イタリアのベニス。静養に訪れた作曲家のアシェンバッハは、宿泊先のホテルで見掛けた少年タッジオに一目で心を奪われる。タッジオへの思いが抑えられないアシェンバッハだったが、折しもベニスではコレラがまん延し始め…
ドイツの作家トーマス・マンが1912年に発表した同名小説をイタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督が映画がした作品。美少年への思いを募らせた老作曲家の苦悩と恍惚を格調高く描く。
アシェンバッハ(ダーク・ボガード)の演技が最高。老いて人生に臆病になった「おっさん」気持ちが伝わってきます。そこに現れた輝かしいばかりのタッジオ。この完全な美を目にしてアッシェンバッハは魂を奪われてしまいます。
アッシェンバッハはストーカーのようなタッジオを見つめます。目が合うシーンでは、タジオは微笑んでいるように見えます。まさしく悪魔ですね。
タッジオ(ビョルン・アンドレセン)
物語に欠かせない金髪の美少年を求めて、ヴィスコンティ監督はヨーロッパ中を探したそうです。本当に美形ですね。宝塚みたい。
悲劇も極まると喜劇になるなんて言いますが、哀しい話なのに何故か笑えます。(僕だけ?)
いや本当に名作。原作の精神性を損なわず、原作以上の芸術作品に昇華させたヴィスコンティ監督に脱帽です。
※今年64本目の映画鑑賞