人間ども集まれ! 手塚治虫
文春文庫
物語
人間の奴隷として作り出された、男性でも女性でもない特殊な人類「無性人間」が、やがて人間に対して反乱を起こす。
漫画『サンデー』1967年1月25日号~1968年7月24日号。大人漫画風のタッチで描かれたSF作品。
主人公 天下太平の精子は特殊なもので、彼の精子から生まれた子供は、男でも女でもない第三の性、働き蜂のような無性人間だったのです。
無性人間はロボットのように人に従う性質があり、医者の大伴黒主とイベント屋の木座神明は、人口子宮で生産した無性人間を奴隷や兵隊として売り大儲けすることを考えます。
しかし、やがて無性人間の中にも反逆する者が出はじめます。世界中の奴隷や兵隊として散らばっていた無性人間たちた一斉に立ち上がります。
1968年「どろろ」から1973年の「ブラック・ジャック」の間のスランプ時代の漫画。ベトナム戦争や学生運動など連載当時の世相を反映していて、シニカルな風刺が効いている。淡白な絵柄だがストーリーは濃い。
劇画ブームの到来で時代遅れになった手塚治虫は、大人漫画や劇画スタイルなどを取り入れて画風のアレンジに悪戦苦闘している。
だが「人間ども集まれ!」ような大人漫画は、たいへん気楽に、気をはらずに書けたと、手塚治虫自身が全集のあとがきに記している。
MW (少し、ゴルゴ13)
フースケ (大人スタイル)
ああ、天才ってスランプの時も努力し続けているのですね。何か学ばせて頂いたような気がする。
※今年の漫画読書 11本目