金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

もやもや日記 「万引き家族」の場外乱闘

昨日「万引き家族」を観て、その余韻から作品情報をネットで調べていたら、作品の本質と関係のないところで盛り上がっていて残念な気持ちがしました。

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火をつけたのは、フランスのフィガロ紙。パルムドール受賞を祝福しない安倍総理大臣を批判した記事を掲載したものです。

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別に祝福しなくても構わないが、日系人ノーベル賞受賞まで祝福していたのだから、確かに異例のことだ。

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その理由は、是枝監督が格差問題や政府がメディアに対する圧力を強めていることについて、以前から安倍政権を批判していたことらしい。

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安倍さんは、香取慎吾の個展に出向いて「芸術は多様性」とか言っていたのに、多様な意見を認められないのだろうか。

是枝監督が安倍政権を批判したから祝福メッセージを出さなかったとすれば「狭量」としか言いようがない。

 

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この記事に対して、高須クリニック院長が安倍総理大臣を擁護するツイートしている。

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そもそも作品を観ていないコメントだろう。本作は「家族」というものを描いた作品で、「万引き」を賞賛した映画ではない。

最下層の人を描いているが、「最下層」を取り上げたから評価されたのではない。そういう「人」を「人」として描いたヒューマニズムが評価されたのだ。

文化や芸術に無理解であることが「国家の品格」だなんて馬鹿げたツイートだ。

 

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そう言えば「永遠の0」や 「風立ちぬ」が、戦争を美化していると言う批判があった。最近、戦時中を舞台にした作品が公開されると必ず出てくる批判だ。

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こちらも作品を見ていないのだろう。「永遠の0」なんて、パイロットの命を軽視したゼロ戦の設計思想や、無謀な作戦を繰り返す軍国主義を批判した作品だ。

百田尚樹が右寄りだからと言って作品を色眼鏡で見るのはよろしくない。

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ひっ、百田を嫌いになっても、「永遠の0」のことを嫌いにならないで下さい!

 

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宮崎駿さんも「風立ちぬ」で戦争を美化していると批判された。ゼロ戦の開発をした人物を描いた作品だからだ。

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作品を見れば、戦争により、飛行旅客機設計の夢を歪められた哀しさだって伝わってくるじゃないですか。なんで戦争美化と言われるのか。

 

そもそも「戦争を美化している」って何だ? 戦争作品におけるヒロイズム(英雄主義)は古典的なテーマだ。

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「戦争の美化」を実例をあげて考える。

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例えば、戦時中のプロパガンダアニメ「桃太郎 海の神兵」は、キャラは可愛いけど、明らかな政治的意図がある。これが戦争を美化した作品でしょう。

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「0戦はやと」や「紫電改のタカ」は太平洋戦争中の戦闘機パイロットを描いた作品だ。実際の戦争を舞台にしているのでセンシティブだけど、これは政治的意図のない単なる少年漫画だ。

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宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」にも政治的な意図はない。架空の戦争なので気楽だが、逆に無批判に見てしまう点が恐い。さらば宇宙戦艦ヤマトのラストシーンなんて、特攻を美化しているようで、とても気持ち悪い。

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まとめ

芸術家が政治を気にしたら良い作品は作れなくなります。鑑賞する人も政治的な色眼鏡で見たら良いものが見えなくなるのではないでしょうか?

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おしまい。