殺人狂時代 1947年
物語
30年間務めた銀行を不況でリストラされたアンリ・ヴェルドゥは、金のために女性を狙った殺人を繰り返すが、ついに真相が発覚し死刑台に送られる。
「一人殺せば犯罪者だが、百万人を殺せば英雄だ。」のセリフが有名な、あの作品です。
30年間勤めた銀行をクビになった男が、普段は虫も殺せないのに、ビジネスとして殺人を繰り返す。作品としてはシリアスな内容ですが、中年のおばさんを歯の浮くようなセリフで口説いたり、湖でボートから突き落とそうとするが上手くいかなかったり、結婚式場に別の女性が来て逃げ回ったり、コメディの要素も沢山ありました。
ヴェルドゥは冷酷な殺人鬼というより、人間としての滑稽な哀愁が漂います。毒薬の効果を確かめようと部屋に招き入れたのに、身の上話を聞いている内に情が出て殺せなくなり、逆にお金を渡して助けるシーンなどチャップリンらしい演出が心憎い。
この映画、単なる風刺喜劇ではなく、アンリ・ヴェルドゥという人間を描いたヒューマンドラマでもありますね。
※今年72本目の映画鑑賞。