金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

完全犯罪 フェアリー

完全犯罪 フェアリー  /   萩尾望都

小学館文庫

物語

冬の夜、ルイにさよならのメッセージを残して花夜子が死んだ。彼女は開幕を間近に控えたミュージカル「GOLD」のヒロイン、だが本当に自殺だったのか?花夜子の死に不審を抱いたルイは、謎を解くカギとなる7年前の花夜子の恋人を探し始める…

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甲斐よしひろの歌30曲にのせて展開するサスペンス。ミュージカル風の漫画だ。

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↑オープニングは♪ 冷血(コールド・ブラッド)物語と歌詞が上手くシンクロしています。

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80年代って、「フラッシュ・ダンス」や「フットルース」のような、MTVの影響を受けた映画が流行っていたので、音楽と物語をミックスするのは目新しい発想ではないと思う。
でもサントラはストーリ-を作ってから、シーンにふさわしい曲をアーティストに作ってもらうのだから簡単だが、既にあるアーティストの曲を使った「音楽縛り」でストーリを作り上げるのは容易ではないだろう。

この作品には萩尾漫画の魅力である壮大な世界観や深遠耽美な文学性はなく、普通のミステリー作品なのでファンの間でもあまり評価されてないようだが、200頁程度の短編なのに30曲も織り込んで、しっかりしたミステリー作品になっているのは驚くべきことだ。

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同じような試みなら、アバのヒット曲を散りばめたミュージカル「マンマ・ミーア!」が思い浮かぶが「マンマ・ミーア!」の舞台初演は1999年。この漫画が執筆されたのは1988年。10年早いのだ。やはり萩尾望都の才能は桁違いだ。

※今年の漫画読書 17本目