金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

リアリズムの宿

リアリズムの宿   2003年

山下敦弘 監督

物語

駆け出しの脚本家・坪井と映画監督の木下は顔見知り程度でしかないが、なりゆきでひなびた温泉街を一緒に訪問。ふたりが海を眺めていると、若い女性が半裸で駆けてくる。「一切合切を波にさらわれた」という彼女を加え、ちぐはぐな旅を続けるが…

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原作は「ねじ式」などで有名な、つげ義春の漫画。オフビートなロードムービー。山下監督は「日本のアキ・カウリスマキ」「日本のジム・ジャームッシュ」などと称される(らしい)

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原作者のつげ義春は旅が好きで、旅を題材にした漫画を多く書いたそうです。この作品に出てくる宿なんかも、きっとモデルになったものがあるのかと思います。

もっとも、今時(2003年公開)、こんな宿はないだろうが、リアリズムと言うよりはシュールな感じで、それはそれで面白い感じです。

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謎の少女、敦子(尾野真千子)。「真冬の海で泳いでいて、一切合切を波にさらわれた」と、通常ではあり得ない登場シーン。なんか訳ありのようですが、坪井、木下に助けられて、そのまま二人の旅に合流してしまう。

行き当たりばったりの展開は、いかにもロードムービーっぽい。ラストで敦子の素性が分かりますが、全てが明かされることなく余韻が残る終わり方でした。

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「旅行」ではなくて「旅」みたいな…

あてもなく流離う、青春時代もたぶん旅みたいなものですね。原作を読んでいないのが残念。いつか読んでみたいです。

※今年14本目の映画鑑賞。