君たちはどう生きるか 2023年
宮崎駿監督
吉野源三郎氏の同名小説にインスパイアされたオリジナルストーリー。
「風立ちぬ」から10年ぶりとなる宮崎監督の長編新作。心待ちにしていて、早速、劇場へ観に行きました。😃
映画の予告も作品紹介も一切なし。新しい宣伝手法かもしれませんが、後輩監督たちの商業主義的な製作姿勢に対する批判があるのかもしれません。
感想
①訳わからん
宮崎駿は試写で観客に対して「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」とコメントしています。作品を観ると過去の宮崎アニメを思い起こされるシーンが多く、キュビスム的に宮崎ワールドが展開されます。訳わからないが楽しいのです。
②人物描写の進化
宮崎駿は「陽気で明るくて前向きな少年像は何本か作りましたけど、本当は違うんじゃないか。自分自身が実にうじうじとしていた人間だったから、少年っていうのは、もっと生臭い、いろんなものが渦巻いているのではないかという思いがずっとあった」と述べている。
コナンやバズーのような分かりやすいキャラクターではない少年、ファンタジーではない人物描写が進化しています。
③禁忌(タブー)
作品のモチーフに冥府神話や死生観のようなものがあります。(新海誠が好んで作品に取り込んでいますが)宮崎駿は過去の作品ではオカルトや宗教的なモチーフを意識的に避けていたように思います。
劇中で主人公が「禁忌」を破るシーンがありますが、このシーンに監督が自らに課していた禁忌を破った象徴として描かれているのではないでしょうか。
80歳を超えて新作を発表、それだけでも凄いですが尽きないクリエイティビティに驚きました。評価は賛否両論に分かれそうですが、観て良かった、観れて良かった作品です。
※今年21本目の映画鑑賞。