金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

身代わり忠臣蔵

身代わり忠臣蔵   2024年

河合 勇人監督

物語

嫌われ者の旗本・吉良上野介からの陰湿ないじめに耐えかねた赤穂藩主が、江戸城内で吉良に斬りかかった。赤穂藩主は当然切腹となったが、実は斬られた吉良も逃げ傷で瀕死の状態に陥っていた。逃げて死んだとなれば武士の恥、お家取り潰しも免れない。そこで吉良家家臣の提案により、上野介にそっくりな弟・孝証を身代わりにして幕府を騙し抜こうという前代未聞の作戦が実行されることに。一方、切腹した赤穂藩主の部下・大石内蔵助は、仇討ちの機会をうかがっているように見えたが……

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時代劇「忠臣蔵」をベースに「身代わり」という設定を加えてコミカルに描いた土橋章宏の同名小説を、ムロツヨシ主演で映画化。

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日本人にとってはお馴染みの忠臣蔵だが、時代劇が廃れた現代では新鮮かもしれない。荒唐無稽なコメディではあるが、しっかり忠臣蔵をやっていて時代劇ファンも楽しめる内容だった。

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ムロツヨシ吉良上野介と孝証の二役を演じる。脚本も面白いが、ムロツヨシの身振り多いコメディが昭和的でよし。いや、すっかりムロツヨシのファンになってしまいました。

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面白かった。時代劇として、コメディとして、映画として、しっかり作られた作品でした。劇場で観て損はないてす。

※今年4本目の鑑賞作品

過去のない男

過去のない男       2002年

アキ・カウリスマキ監督

物語

夜行列車でヘルシンキに着いた男が、暴漢に襲われて重傷を負い、極貧の一家に拾われて命は取り留めるが、記憶喪失に。日雇い労働をして暮らすようになった彼は、救世軍で働く女性イルマと出会い、心を通わせていく。

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フィンランドの異才アキ・カウリスマキ監督作品。02年カンヌ映画祭グランプリと主演女優賞を受賞。

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どん底の人生を送る男と女の切ないラブストーリー。チャップリンのモダンタイムズを彷彿させます。映画に使われた、フィンランドのムード歌謡=イスケルマの名曲の数々とともにクレイジーケンバンドの「ハワイの夜」が挿入歌として登場。

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カリウスマキの看板女優、カティ・オウティネン。表情を抑えた不美人な演技がビミョーな笑いを作ります。本作ではしっかりヒロイン役でした。

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アキ・カウリスマキ監督の作品何本も観ていましたが、この作品見落としていたか(観て忘れたか?)、カンヌ映画祭のグランプリだけあって素晴らしい。今まで観たアキ・カリウスマキ作品で一番良かった。👏

また観たくなる映画です。

※今年3本目の映画鑑賞

運命は踊る

運命は踊る      2017年

サミュエル・マオズ監督

物語

ある日、ミハエルとダフナ夫妻のもとに、息子のヨナタンが戦死したとの知らせが届く。ダフナは気絶するほどショックを受け、気丈なミハエルも役人の対応にいら立ちを募らせていく。そんな中、やがて戦死したのは同姓同名の別人だったと訂正の知らせが届く。ダフネがほっと胸をなでおろすのとは対照的に、ミハエルは軍への不信感から激高し、息子をすぐに呼び戻すよう要求する。一方ヨナタンは、戦場の緊迫感からは程遠い閑散とした検問所で、仲間の兵士たちと一見おだやかな時間を過ごしていたのだったが...。

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レバノン」で第66回ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したイスラエルの名匠サミュエル・マオス監督が、実体験をもとに運命の不条理や人生のやるせなさを描いたミステリードラマ。

第74回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞。

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イスラエル映画。息子ヨナタンの戦死の知らせから始まるが、戦死したのは同性同名の人物で息子は無事であると分かる。序盤からひっくり返すような展開で物語が始まる。

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一方のヨナタンは、戦地には遠い検問所に赴任していたが、人生を変えるような事件に巻き込まれる。ドラマは不条理な運命、人生の複雑さをを描き出す。

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ここ暫く、こういう芸術作品を観ておらず、テンポが悪く退屈に感じてしまい、エンタメ系ばかり観ていると駄目だな、と反省。

淡々としたテンポも監督の計算があります。作品解釈は一様ではないと思いますが、人生について考えさせられる名画でした。

※今年2本目の映画鑑賞

風の絨毯

風の絨毯          2003年

カマル・タブリージー監督

物語

飛騨高山。400年前に消失した伝説の祭屋台の再現を目指す中田金太は、祭屋台を飾る見送り幕にペルシャ絨毯を使うことを決め、そのデザインをペルシャ絨毯の輸入業を営む古美術商・永井誠の妻で画家の絹江に依頼した。金太との何度かのやり取りの末、絹江のデザインが決定し、あとは誠がイランで形にするのみとなった。

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日本とイランの絆を描く合作映画。工藤 夕貴、柳生 美結らが出演している。

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亡くなった妻がデザインし注文した絨毯を受け取りに来たが、手違いがあり編まれていなかった。

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不眠不休で絨毯を編むことを約束してくれたが、なかなか思い通りには進まず。

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母を失い心閉ざしていた娘さくら。現地の少年から好意を持たれて。可愛らしいラブストーリーが物語に花を添える。

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イランと日本の歴史的な合作映画。イランの方の人情が伝わる映画で良かったです。最近の国際情勢からイランのイメージ悪いのですが、映画を通して観るイランはいい国ですね。また合作映画が作れるといいなと、思います。

※2024年、一本目の鑑賞映画。

謹賀新年 

謹賀新年 2024年

 

明けましておめでとうごさいます。 

新年の抱負

今年も映画なんて観て、ご気楽に過ごせればと思うのです。リア充よりもバーチャル充。

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生きることは夢幻の如し。

のんびり、行きましょう。

本年もよろしくお願いします。 金魚

 

雑記: 2023年の映画鑑賞

振り返り2023年の映画鑑賞

今日現在ですが、今年は33本しか鑑賞できませんでした。例年、邦画、洋画、それぞれマイペスト10を選んでいましたが、33本しか鑑賞していないので心に残った作品、上位8本だけ紹介します。

一位

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

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巨匠スコセッシ監督。アメリカの黒歴史を題材にした作品。ディカプリオの演技もよく、スコセッシの作品でも上位の出来栄えでした。

二位

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北野武監督。映画として素晴らしいか、と言われると微妙だけど、北野武の人間観や世界観が詰まった作品。観るべき一本だと思います。

三位

君たちはどう生きるか

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宮崎駿監督。過去の作品のような驚きは無かったが、宮崎駿監督の「次の世代への期待」というストレートなメッセージが伝わりました。観て良かった。

四位

ゴジラ-1.0

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山崎貴監督。ゴジラというジャンル映画でありながら、ヒューマンドラマもしっかりしていて面白かった。海外での評価も高いようです。

伍位

怪物

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是枝裕之監督。スリラーやミステリー的な娯楽性もあるが、芸術性の高いヒューマンドラマ。印象に残る作品でした。

六位

嘆きのテレーズ

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マルセル・カルネ監督。二転三転する不倫サスペンスで、大衆的な娯楽性を持ちながら、一方で男女の業のようなものまで描き出しています。シモーヌ・シニョレの演技が素晴らしい。

七位

ドイツ零年

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ロベルト・ロッセリーニ監督。困窮する戦後ドイツ社会を描いたネオ・レアリスモ作品であるが、主人公の少年の描写にはヌーヴェル・ヴァーグ的な儚さがある。

八位 

日本のいちばん長い日

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岡本喜八監督。東宝創立35周年記念作品として製作されたこともあり、キャストや製作にも力が入っている。戦争の狂気を描く、岡本喜八監督渾身の作品。

 

この辺くらいまで。敢えてペスト10を選ぶなら、最近鑑賞した「ナポレオン」、インドの娯楽大作「RRR」ですが、自分的にはインパクトが少ない気がしました。

今年は鑑賞本数が少ない割には良い作品に出会えた気がしますが、来年は最低でも60本くらいは映画鑑賞したいと思います。

おしまい。

ナポレオン

ナポレオン      2023年

リドリースコット監督

物語

18世紀末、革命の混乱に揺れるフランス。若き軍人ナポレオンは目覚ましい活躍を見せ、軍の総司令官に任命される。ナポレオンは夫を亡くした女性ジョゼフィーヌと恋に落ち結婚するが、ナポレオンの溺愛ぶりとは裏腹に奔放なジョゼフィーヌは他の男とも関係を持ち、いつしか夫婦関係は奇妙にねじ曲がっていく。その一方で英雄としてのナポレオンは快進撃を続け、クーデターを成功させて第一統領に就任、そしてついにフランス帝国の皇帝にまで上り詰める。

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リドリー・スコットホアキン・フェニックスアカデミー賞作品賞受賞の「グラディエーター」以来 23年ぶりのダッグ作品。

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ナポレオン、フランスの英雄として有名な人物を描いた伝記映画。スペクタクル超大作。エキストラや馬をたくさん使った合戦シーンは圧巻。

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ナポレオンと妻ジョゼフィーヌヴァネッサ・カービー)の夫婦関係を深く描いている。監督は劇場版は158分だが、ナポレオンに会う前のジョゼフィーヌに焦点を当てた270分バージョンも存在するそうだ。DVDで完全版が発売されたら観てみたい。

余談だが映画はPG12に指定だが、露骨なセックスシーンもあって子どもと観るのは気まずい。

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監督、俳優、製作陣、一流どころを揃えただけの大作。ナポレオンを偉人や英雄としてではなく、妻ジョゼフィーヌの愛にすがる人間としての弱さを描いている。複雑なナポレオンの人物像は解釈が定まらず、鑑賞後にすっきりしない印象が残った。

※今年33本目の映画鑑賞。