金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

感謝知らずの男

感謝知らずの男     萩尾望都

小学館文庫

物語

バレエ・ダンサーのレヴィはアパートの階下の騒音が原因で不眠症。防音設備のある部屋へ引っ越したが、同じアパートに住む音楽学生モリスとその恋人ミリーは世話を焼きたがり。何かと接触して来る。次第なミリーはレヴィに惹かれ、いつのまにか三角関係に…

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表題作のほか「オオカミと三匹の子ブタ」「狂おしい月星」とバレエダンサーのレヴィを主人公とした作品が三作品、その他、バレエ団を舞台にした「海賊と姫君」「ジュリエットの恋人」の二作品が収められた短編集。

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レヴィは17才のバレエ・ダンサー。才能あるダンサーですが、まだ精神的にナイーブな面が残ります。

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「感謝知らずの男」「オオカミと三匹の子ブタ」はコメディ・タッチです。

「狂おしい月星」は、写真家アーチーとの友情とその破綻を描いたシリアスな内容で読み応えのある作品でした。

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不潔恐怖症で病院に入っているレヴィのお兄さんとかレヴィが不思議な安心感を覚える看護婦のドーラなど気になる脇役が登場します。

兄が不潔恐怖症になった経緯とか、レヴィの幼少期の話などを予感させますが、伏線を回収しないまま連載が終了します。本当は長期連載の予定だったのかな。

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※今年の漫画読書 12本目

 

 

 

 

 

 

王様と私

王様と私                     1956年

ウォルター・ラング監督

物語

1860年代のシャム(現タイ・バンコク)。
イギリス人の未亡人アンナは王子・王女の家庭教師として、シャムの王宮に 迎え入れられるが、専制君主である傲慢な王様と激しく対立する。隣国ビルマから貢物として献上されてきたタプティムは恋人ルンタと王様に 隠れて密かに愛を育んでいた。そんな2人の逢瀬を手助けするアンナだったが、王子や王女と触れ合い、 国を思う王様の真摯な人柄を知るにつれ、徐々に理解を示していく。そんな中、視察のためイギリスから訪れた特使を、アンナの提案のもと西洋 式の晩餐会で歓待することに成功した2人は絆を深めるのだったが・・・

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映画ですが、特等席で舞台劇を観ているような贅沢な気分にさせてくれます。衣装や王宮のセットなどエキゾチックで楽しい。

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ユル・ブリンナーの演技がいいですね。西部劇のイメージもありますが、この映画でアカデミー賞の主演男優賞を獲得しています。彼はこの舞台に生涯を通して4633回出演したそうです。

Shall We Dance はこの作品の曲だったのですね。思わず口ずさみたくなるメロディ♫

誰もが楽しめる ご機嫌なミュージカルでした。

※今年38本目の映画鑑賞

人間ども集まれ!

人間ども集まれ!    手塚治虫 

文春文庫

物語

人間の奴隷として作り出された、男性でも女性でもない特殊な人類「無性人間」が、やがて人間に対して反乱を起こす。

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漫画『サンデー』1967年1月25日号~1968年7月24日号。大人漫画風のタッチで描かれたSF作品。

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主人公 天下太平の精子は特殊なもので、彼の精子から生まれた子供は、男でも女でもない第三の性、働き蜂のような無性人間だったのです。

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無性人間はロボットのように人に従う性質があり、医者の大伴黒主とイベント屋の木座神明は、人口子宮で生産した無性人間を奴隷や兵隊として売り大儲けすることを考えます。

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しかし、やがて無性人間の中にも反逆する者が出はじめます。世界中の奴隷や兵隊として散らばっていた無性人間たちた一斉に立ち上がります。

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1968年「どろろ」から1973年の「ブラック・ジャック」の間のスランプ時代の漫画。ベトナム戦争学生運動など連載当時の世相を反映していて、シニカルな風刺が効いている。淡白な絵柄だがストーリーは濃い。

 

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劇画ブームの到来で時代遅れになった手塚治虫は、大人漫画や劇画スタイルなどを取り入れて画風のアレンジに悪戦苦闘している。

だが「人間ども集まれ!」ような大人漫画は、たいへん気楽に、気をはらずに書けたと、手塚治虫自身が全集のあとがきに記している。

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どろろ (少し、水木しげる

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きりひと讃歌   (少し、石ノ森章太郎

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MW (少し、ゴルゴ13

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フースケ (大人スタイル)

ああ、天才ってスランプの時も努力し続けているのですね。何か学ばせて頂いたような気がする。

※今年の漫画読書 11本目

 

パリの恋人

パリの恋人                    1957年

スタンリー・ドーネン監督

物語

N.Y.のファッション誌のカメラマン・ディックは、古本屋のインテリ娘・ジョーを雑誌の表紙のモデルにスカウトする。パリでの撮影でジョーは見違えるほどに美しく変身するが…

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フレッド・アステアオードリー・ヘップバーンのミュージカルラブコメディです。 監督は「雨に唄えば」のスタンリー・ドーネン監督。音楽はガーシュウィンと、オードリー品質の作品です。

ボンジュール・パリ♫   

パリはアメリカ人にとっても憧れの都なんですね。

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物語はたわいない。気楽に見れる映画だ。

オシャレなパリを舞台にして、オードリーが歌って踊るのが作品の最大の魅力。(オードリーはデビューの前はバレリーナを目指していたこともあり踊りは上手い。カフェで踊ったモダンダンスとか見もの。)

あとファッション業界の話で、オードリーが様々なファッションで登場します。ジバンシーらが一流のデザイナーが提供したドレスに身を包み、ウェディング姿も披露する。オードリーの美しさを堪能できる作品です。

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※今年37本目の映画鑑賞

青いトリトン

青いトリトン  /  手塚治虫

復刊ドットコム    上下2巻

物語

岬の洞窟に捨てられていた赤子・トリトンは、人間に拾われ陸で育っていく。しかしある日、白いイルカのルカーによって、自分が海底人「トリトン族」の末裔であることを明かされる。トリトン族は海を支配する種族「ポセイドン族」により絶滅させられ、更にポセイドン族は地上の支配をも目論んでいると知ったトリトンは、ルカーに乗りポセイドン族の野望を打ち砕くため七つの海を奔走する。

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1969年9月1日から1971年12月31日まで「サンケイ新聞」紙上に、1日1ページの形式で、2年以上掲載された。単行本化の際に「海のトリトン」に改題された。

復刊されたオリジナル版は新聞掲載時のイメージ通りでセリフも手書きとなっています。

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子供の頃、初めて読んだ長編のストーリー漫画が「海のトリトン」(秋田書店)でした。今回、数十年ぶりに読み直したら、一頁一頁、一コマ一コマが懐かしい。僕にとって特別な漫画です。

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物語は「トリトン族 vs ポセイドン族」という構図から「海の一族 vs 陸の人間 」という構図に変わります。トリトンはポセイドンとの決着をつけるため、ポセイドンを道連れにして死んでしまいます。人間との共存はトリトンの息子のブルーに託されます。

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アニメは原作とは異なる内容になりました。監督をした富野由悠季は、手塚治虫がアニメ製作に口を出さず自由に原作を改変させてくれた理由について「手塚は原作を失敗作だと考えていたのではないか」と推察しています。おそらく手塚治虫は、ピピ子と子供達を残してトリトンを死なせてしまうエンディングはアニメ向きでないと考えたのだと思います。

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しかし子供の頃に読んで面白かったものが、年とって読んでも面白い。作品が素晴らしいのか、自分が成長していないのか…(笑)

※今年の漫画読書 10本目

 

新選組

新選組      /     手塚治虫

講談社

物語

剣の腕を磨き、父の仇をうつため「新選組」に入隊した少年・深作丘十郎。幕末を舞台に、親友・鎌切大作や新選組隊士たち、そして坂本龍馬との出会いを通じて、少年は成長していく…

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1963年に少年ブック(後のジャンプ)で連載していた。架空の少年剣士、深草丘十郎が新選組で活躍するフィクションです。

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手塚さん本人によるあとがきでは、地味な作品で人気が上がらず構想の半分程度で終了、本当はもっと続けたかったと書いてありました。同じく幕末を扱った名作「陽だまりの樹」が青年誌で連載されたことを考えるとターゲット層に若干ズレがあったのかもしれません。読者としても連載終了が惜しまれる作品です。

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本作、萩尾望都さんが高校生の頃読んで衝撃を受け、本気で漫画家を志した作品として知られています。

親の仇討ちという暗い目的を抱えて悩み苦しむ少年の姿とか、親友との葛藤などが、思春期の萩尾望都さんの感性に共鳴したのかな…。

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文庫本にはもう一本作品が収録されています。


鉄の道

物語

時代はおよそ1500年前、ローマ人最高とうたわれた剣士・アキレタスは、遣唐使のお供として中国の唐に来ていた日本人・タケルの強さを噂に聞き、一度あって腕を確かめたい、とシルク・ロードで東を目指します。一方、隊商の護衛を任されたタケルは一路西へと苦難の道を行きます。東西二人の勇士が何千里もの距離を越えて出会い競い合う。

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遣唐使として唐に渡った日本人がはるばる陸路でローマに行き、ローマの剣士と戦う…なんて壮大なスケール。

小学六年生をターゲットにした雑誌に掲載された漫画で夢のある作品でした。

※今年の漫画読書 9本目

 

 

もやもや日記 : NG なアニメキャラ

NGなアニメキャラと題し、最近、気になったもやもや記事。

①萌え系イコン

ロシアのSNSにアニメのスタイルで描かれたイコン(正教会の聖像画)が掲載され、ロシア正教会が「信仰心を害する」と不快感を示した。

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宗教画に萌えはマズい。やはり日本人が描いたのかな?  やらかした感が…

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聖☆おにいさん

日本人の宗教観はゆるい。海外でもユーモアを理解してくれる人は多いけど、そりゃ、怒る人もいるよ。

 

カール・マルクスのアニメ化

カール・マルクス生誕200年記念アニメ、中国で制作決定。

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共産党宣言を著したロシアの革命家カール・マルクスと盟友のフリードリヒ・エンゲルスの若き日を描いた作品ですが、何がNGって、プロパガンダに日本風のアニメを使わないで欲しいということだけ。

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↑軽薄なアニメにされて唖然とする二人。

 

自衛隊の隊員募集ポスター

自衛官募集ポスターに下着チラ見え?「セクハラ」と苦情も-滋賀

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セクハラとか、ツッコミのポイントが違う気がする…  「国防は遊びじゃない、自衛隊員の募集ポスターにアニメを使うな〜」と誰か言ってくれ。

↓痛すぎ

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↓これはいいね。

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おしまい