物語
剣の腕を磨き、父の仇をうつため「新選組」に入隊した少年・深作丘十郎。幕末を舞台に、親友・鎌切大作や新選組隊士たち、そして坂本龍馬との出会いを通じて、少年は成長していく…
1963年に少年ブック(後のジャンプ)で連載していた。架空の少年剣士、深草丘十郎が新選組で活躍するフィクションです。
手塚さん本人によるあとがきでは、地味な作品で人気が上がらず構想の半分程度で終了、本当はもっと続けたかったと書いてありました。同じく幕末を扱った名作「陽だまりの樹」が青年誌で連載されたことを考えるとターゲット層に若干ズレがあったのかもしれません。読者としても連載終了が惜しまれる作品です。
本作、萩尾望都さんが高校生の頃読んで衝撃を受け、本気で漫画家を志した作品として知られています。
親の仇討ちという暗い目的を抱えて悩み苦しむ少年の姿とか、親友との葛藤などが、思春期の萩尾望都さんの感性に共鳴したのかな…。
文庫本にはもう一本作品が収録されています。
鉄の道
物語
時代はおよそ1500年前、ローマ人最高とうたわれた剣士・アキレタスは、遣唐使のお供として中国の唐に来ていた日本人・タケルの強さを噂に聞き、一度あって腕を確かめたい、とシルク・ロードで東を目指します。一方、隊商の護衛を任されたタケルは一路西へと苦難の道を行きます。東西二人の勇士が何千里もの距離を越えて出会い競い合う。
遣唐使として唐に渡った日本人がはるばる陸路でローマに行き、ローマの剣士と戦う…なんて壮大なスケール。
小学六年生をターゲットにした雑誌に掲載された漫画で夢のある作品でした。
※今年の漫画読書 9本目