かぐや姫の物語 2013年
高畑勲監督
物語(略、かぐや姫です)
製作8年、総製作費は、なんと50億円という信じられないアニメ。黒澤明の「乱」だって26億なのに…
日本テレビ元会長の氏家氏が高畑勲のアニメが好きで、パトロンになって採算無視で作らせたそうです。
話が少し脱線しますが「かぐや姫」というと、1987年に公開された「竹取物語」を思い出します。これも製作費20億という大作でしたが、主演の沢口靖子の演技がド下手で、唯一の見せ場は月からのお迎えが「未知との遭遇」というネタだけの本当につまらない映画でした。
この「竹取物語」の印象があるせいか「かぐや姫」の映画には期待していませんでした。
それで、「かぐや姫の物語 」を観た感想ですが、実に素晴らしいアニメでした。
ピクサーとかのCGでは決してできない水彩画のようなタッチ、アニメ芸術の極みというような繊細な動きと演出。また自然描写の美しいこと、美しいこと。
物語の翻案も素晴らしい。「かぐや姫」を、お姫様として贅沢に生きる人生を否定して、貧しくても苦労をしても自分の意思で生きることを選ぶ女性として描いています。
親の期待している生き方と自分が望む生き方に葛藤する姿は「昔ばなし」ではありません。誰もが知っている物語を、こんなドラマに仕上げてしまうなんて凄いです。
正直、感動しました。興行的には、50億円の製作費で興行収入25億円という赤字作品ですが、後世に残る名作だと思います。
※今年65本目の映画鑑賞