幸せなひとりぼっち 2015年
ハンネス・ホルム監督
物語
愛妻に先立たれ失意のどん底にあったオーヴェの日常は、パルヴァネ一家が隣に引っ越してきたことで一変する。車のバック駐車や病院への送迎、娘たちの子守など、迷惑な彼らをののしるオーヴェだったが、パルヴァネは動じない。その存在は、いつしか頑なな彼の心を解かし
ていき…
スウェーデンで160万人を越える動員を記録し、同国のアカデミー賞にあたるゴールデン・ビートル賞で観客賞を授賞した。アカデミー賞では外国語映画賞を含む2部門にノミネートされ、ヨーロッパ映画賞で最優秀コメディー賞を獲得した。
オーヴェという偏屈な老人を描いたコメディーだが、その身の上が哀しくて切ない気持ちになる作品。
原題はスウェーデン語で「En man som heter Ove(オーヴェという名の男)」。
邦題は「幸せなひとりぼっち」だが、妻に先立たれ、彼女の後を追うために自殺しようとしている男がしあわせな訳はなくミスリードなタイトル。「ひとりぼっちのオーヴェ」くらいで良かったように思う。
オーヴェの回想で、生い立ちや愛妻ソーニャとの出会いと夫婦生活が語られる。
不器用だが真面目で、妻を心から愛した男の生涯を知るにつれ、オーヴェという偏屈な老人を愛さずにはいられなくなる。
自分もそのうち、オーヴェのような孤独な老人になるのだろうとか想像して少し怖くなった。老いや死という他人事ではないテーマに考えさせられる映画。
※今年185本目の映画観賞。