飢餓海峡 1965年
内田吐夢 監督
物語
昭和22年に青函連絡船沈没事故と北海道岩内での大規模火災が同時に起きる。火災は質屋の店主を殺害し金品を奪った犯人による放火と判明。そして転覆した連絡船からは二人の身元不明死体が見つかった。それは質屋に押し入った三人組強盗のうちの二人であることが分かる。函館警察の弓坂刑事は、事件の夜に姿を消した犬飼多吉という男を追って下北半島へ赴く。
水上勉の同名小説を、「大菩薩峠」や「宮本武蔵」シリーズで知られる内田吐夢が監督した推理劇。主演は三國連太郎、左幸子、伴 淳三郎、高倉健。
社会派 推理サスペンス。原作となる小説は、水上勉が推理作家から社会派の作家へと移行する時期の作品ということで、戦後の混乱や貧困に喘ぐ人々の悲哀が心に刺さります。
三國連太郎の演技が素晴らしい。小説の人物に生命を吹き込むようなリアリティ感。名演技でした。
製作話では、東映のプロデューサーは三國連太郎を嫌っていたが、内田監督が「これは三國以外にやれる人間はいないから、三國でなければ俺が降りる」と押し切ったそうです、正解。
杉戸八重を演じた左幸子さんの演技がまた凄い。逃亡中の樽見に大金を貰って、恩人である樽見を想い続ける娼婦の役なのだが、樽見の爪を頬に刺して恍惚とするシーンは仰け反りもの。
刑事役の、伴 淳三郎、高倉 健 も素晴らしい演技でした。高倉健さんはまだ初々しい感じでした。
名画でした。丁寧な描写で3時間の長さがありますが納得の内容。とにかく俳優の演技が素晴らしすぎる。
※今年32本目の映画鑑賞。