金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

切腹

切腹         1963年

小林正樹監督

物語

寛永7年10月、井伊家の江戸屋敷に津雲半四郎と名乗る浪人が現れ、生活苦から切腹したいので庭先を貸して欲しいと申し出る。近頃、江戸では金に困った浪人が他人の屋敷の玄関先で切腹すると申し出て金品を巻き上げる手口が横行していた。井伊家の家老・斎藤勘解由は半四郎に、春先に同じ用件でやって来た千々岩求女という浪人の話をする。浪人たちの強請同然の手口に悩まされていた勘解由は、死ぬつもりなどない求女に庭先を貸し与え、本当に切腹にまで追い込んだのだ。話を聞き終えた半四郎は、勘解由に衝撃的な事実を語りだす。

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滝口康彦の小説「異聞浪人記」を原作に、「七人の侍」などの名脚本家・橋本忍が脚色を手がけた。仲代達矢 岩下志麻 石浜朗 三國連太郎 丹波哲郎主演。1963年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。

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井伊家の江戸屋敷に、千々岩求女(ちぢいわ・もとめ)と名乗る浪人が生活苦から切腹したいので庭先を貸せと申し出るのだが、井伊家家老は、このような手口で金品をたかる浪人を懲らしめ天下への見せしめとしようと、求女を本当に切腹せてしまう。

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「一両日のご猶予を」と懇願する求女に対して、「武士に二言はあるまいな」「さあ、存分に腹を召されよ」と、追い込む方がえぐい。

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津雲半四郎は、実は求女の義父である。井伊家の酷いやり方に物申すために、切腹を申し出て井伊家老と対面する。

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暗い内容ではあるが、ストーリーも面白い。時代劇の傑作である。

仲代達矢の緊張感のある演技、半四郎の一人語りに惹きつけられる。仲代達矢の主演した映画では一番の役者ぶりかと思う。

※今年50本目の映画鑑賞。