大菩薩峠(第一部 / 第二部 / 完結篇)67年-69年
内田吐夢 監督
物語
大菩薩峠の頂上、黒紋付着流しの机龍之助は唐突に老巡礼を斬り捨てた。祖父の死に驚く孫娘のお松は怪盗七兵衛に助けられる。御嶽山奉納試合の対戦相手である宇津木文之丞の妻から「試合に負けてほしい」と頼まれるが、龍之助はこれを拒否し妻を犯したあげく、試合で文之丞をてしまう。文之丞の弟である兵馬は復讐を誓い、島田虎之助から剣を学ぶため江戸へ向かい、そこで知り合ったお松と恋仲になるのだった。
「飢餓海峡」の素晴らしさに感動して、内田吐夢監督の「大菩薩峠」三部作を鑑賞しました。
「大菩薩峠」は中里介山は1913年~1941年に新聞などに連載された時代小説。虚無にとりつかれた剣士・机竜之助を主人公とする物語である。大衆文学として人気を博すだけでなく、菊池寛、谷崎潤一郎、泉鏡花、芥川龍之介らも賞賛している。
大菩薩峠の頂上、居合わせた老巡礼を一刀の下に切り捨てる机竜之助。大正時代に生まれたダークヒーローは、眠狂四郎、丹下左膳などに受けつがれていく。
辻斬りを繰り返す机竜之介のニヒリズムは、最近の映画なら。jokerみたいで、そんな退廃感が受け入れられた大正時代のモダニズムも伝わってきます。
時代劇の大スター片岡千恵蔵。時代劇らしい所作振舞い、重々しい喋り方、殺陣、すべて完璧。見惚れます。
宇津木兵馬を演じ中村錦之助、お松を演じる丘さとみなど脇役もしっかり。
オープニングタイトルの仏教画(地獄絵図)も作品の世界観が出ている。
今回、映画自体より気になった内田吐夢監督。戦前からの映画監督で満州に行ったり、甘粕正彦の自決現場に立ち会うなど波乱の人生を送っている。黒澤明監督の先輩となり、これは僕の想像だが、少なからず黒澤明にも影響を与えたのではないかと思う。
「大菩薩峠」公開時の内田監督のインタビュー記事。作品に対する深い考察、丁寧な人物描写や演出意図が語られている。名監督ですね。
※今年33.34.35本目の映画鑑賞。