金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

俺たちに明日はない

俺たちに明日はない     1967年

物語

1930年代にアメリカ各地で強盗を繰り返した、クライド・バロウとボニー・パーカーの実話を元に描いた作品

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これは一度観ていますが、再鑑賞。

アメリカン・ニューシネマの先駆けになった作品という位置付けですが、衝撃なラストも実話です。

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この映画の魅力は、犯罪を繰り返す二人の愛ですね。

「愛があれば、何でもできる」というか、ぶっちゃけ「馬鹿ップル」ですが、純粋なんですよね。世の中を敵に回しても、2人の愛は絶対なのです。

 

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 実際のボニー&クライド。3枚目ボニーの決めポーズがヤンキーだな…。

※今年69本目の映画鑑賞

 

 

 

 

 

 

 

  ※今年69本目の映画鑑賞

 

アウトレイジ 最終章

アウトレイジ 最終章    2017年

北野武監督

物語

関東最大の暴力団組織・山王会と関西の雄・花菱会との抗争後、韓国に渡った大友は日本と韓国を牛耳るフィクサー、張会長のもとにいた。花菱会幹部の花田は取引のためやって来た韓国でトラブルを起こして張会長の手下を殺してしまい、張グループと花菱は緊張状態へと突入する。激怒した大友は日本に戻り、過去を清算する好期をうかがっていた。その頃、花菱会ではトップの座をめぐる幹部たちの暴走がはじまっていた。

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アウトレイジ・シリーズ三部作の最終章になります。ちょうどレンタル開始していたので観てみることにしました。

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冒頭の釣りのシーンは、海を背景にして、いかにも北野映画だなという感じですね。掴みのいい映画でした。

 

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西田敏行さんや故・大杉漣さん。普段は優しそうな俳優がヤクザ演じるGAPがいいですね。

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塩見三省さん。脳出血の病み上がりながら、重要な役回りを果たしていました。

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松重豊さんは警察役だけど、あまり物語に絡んでなくて残念だった。

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張会長(金時鐘さん)

本職は俳優でないそうですが、なかなかの存在感でした。抑制された演技が大物感を出していました。

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芸術作品を作り国際映画祭で評価されるのも大変だけど、エンタメ作品を作って大衆にウケるのも大変ですね。北野武監督はウケるツボを捉えるのが上手ですね。

 

   ※今年68本目の映画鑑賞

 

 

 

 

 

東京物語

東京物語                  1953年

小津安二郎 監督

物語

故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった…

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有名な「東京物語」ですが、小津安二郎の映画も観るのは初めてです。

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老夫婦を演じる笠智衆東山千栄子

冒頭の旅支度で、夫が妻のカバンに空気枕が入っているはずだと言ってから、やはり自分の荷物の中に入っていたことに気がつくシーンの会話がいい。

「ああ、あった、あった」「ありゃんしたか」「ああ、あった」。

日常ありそうな会話だが、長年連れ添った老夫婦の感じが出ている。

映画全編を通して、老夫婦の息の合った会話は素晴らしく、この演技を観るだけでも価値のある映画だなと思いました。

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しかし、この時の笠智衆さん実年齢は49才。老け役の天才だな…。

 

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清楚で美しい原節子さんを観るために、多くの観客が劇場に足を運んだんじゃないかな…アイドル映画的な要素もあると思うのだけど。

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真正面カット。目の前に美人が座っているようでドキドキします。これは意図した構図ですね、

 

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世界の映画評論家から高い評価を受けている映画ということで構えて観ましたが、観終わった後の感想としては普通に良い映画でした。撮影技術の素晴らしさはあまり分かりませんが、老夫婦と家族を描いたヒューマンドラマとして秀逸でした。

※今年67本目の映画鑑賞

 

 

雨月物語

雨月物語       1953年

溝口健二 監督

物語

上田秋成雨月物語の 「浅茅が宿」と「蛇性の婬」が原作とした映画。戦国時代を舞台にした幽霊譚。

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溝口健二の映画を初めて見ました。

黒澤明と並び、小津安二郎溝口健二は世界で高く評価されている。本作「雨月物語」はベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞作で、とりあえず、溝口映画の入門にはいいかな、と思い手にとった次第です。

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源十郎(森雅之)、若狭(京マチ子

印象に残るのは京マチ子の妖艶(実は妖怪なんだけど)な演技ですね。溝口監督は女性映画の巨匠と言われていますが、納得。女な情念を感じさせます。

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あとは、湖のシーンの幽玄さ。源十郎と宮木の今生の別れとなりますが、雰囲気のあるシーンでした。

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宮木の幻と再開する源十郎。死んだ後も夫を気遣う女性の優しさを感じさせます。

 

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初の溝口映画ですが、思っていたより観やすい映画でした。また他の作品も観たいな。

 

※今年66本目の映画鑑賞

 

 

 



 

 

 

かぐや姫の物語

かぐや姫の物語        2013年

高畑勲監督

 物語(略、かぐや姫です)

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製作8年、総製作費は、なんと50億円という信じられないアニメ。黒澤明「乱」だって26億なのに…

日本テレビ元会長の氏家氏が高畑勲のアニメが好きで、パトロンになって採算無視で作らせたそうです。 

 

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話が少し脱線しますが「かぐや姫」というと、1987年に公開された「竹取物語」を思い出します。これも製作費20億という大作でしたが、主演の沢口靖子の演技がド下手で、唯一の見せ場は月からのお迎えが「未知との遭遇」というネタだけの本当につまらない映画でした。

この「竹取物語」の印象があるせいか「かぐや姫」の映画には期待していませんでした。

 

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それで、「かぐや姫の物語 」を観た感想ですが、実に素晴らしいアニメでした。

ピクサーとかのCGでは決してできない水彩画のようなタッチ、アニメ芸術の極みというような繊細な動きと演出。また自然描写の美しいこと、美しいこと。

物語の翻案も素晴らしい。「かぐや姫」を、お姫様として贅沢に生きる人生を否定して、貧しくても苦労をしても自分の意思で生きることを選ぶ女性として描いています。

親の期待している生き方と自分が望む生き方に葛藤する姿は「昔ばなし」ではありません。誰もが知っている物語を、こんなドラマに仕上げてしまうなんて凄いです。

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正直、感動しました。興行的には、50億円の製作費で興行収入25億円という赤字作品ですが、後世に残る名作だと思います。

 ※今年65本目の映画鑑賞 

 

巴里のアメリカ人

巴里のアメリカ人   1952年

物語

 パリで画家修業を続けるジェリーが、歌手のアンリと友情を結ぶ。やがてジェリーは、リズという美しい娘と出会い、恋に落ちてしまう。しかし、リズがアンリの婚約者であると知ったジェリーは、いさぎよくリズのことをあきらめるが……。

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ジェリーとアンリがリズを巡って三角関係になってしまいます。ジェリーにはパトロンのミロという女性もいて恋愛模様は複雑です。

ダンスが中心の映画でドラマはあっさりとしていますが、三角関係は切ないですね。

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クライマックスでケリーとキャロンがガーシュウィンの楽曲『パリのアメリカ人』をバックに踊る18分間のダンスシーンは圧巻。

映画全体で118分の内、18分はバランス的には長すぎの感もありますが、もし、このシーンが中途半端だったら「巴里のアメリカ人」は三文芝居です。駄作と傑作は紙一重ですね。

 

※今年64本目の映画鑑賞

 

 

 

市民ケーン

市民ケーン       1941年

物語

新聞王ケーンが、荒廃した大邸宅で「薔薇のつぼみ」という謎の言葉を遺して死んだ。その言葉の意味を探ろうと、新聞記者たちが取材を開始していく。

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オーソンウェルズの監督デビュー作。

映画評論家からの評価が非常に高い作品。ストーリーの展開の仕方、撮影や編集の技術は当時は画期的だったようです。

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物語はケーンが残した「薔薇のつぼみ」という言葉の意味を探るミステリー仕立てです。関係者の証言から、大富豪ケーンという人物の実像が浮き上がってきます。

記者は「薔薇のつぼみ」の意味を最後まで知ることができませんが、観客はラストシーンで意味を知ることになります。印象に残るエンディングでした。

 

 ※今年63本目の映画鑑賞