金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります      2014年

リチャード・ロンクレイン監督

物語

長年ずっと連れ添ってきたカーヴァー夫妻は、40年住み慣れた5階にある眺めの良い部屋を「エレベーターがない」という理由で売却しようとしている。 昔は下町だったイースト・ヴィレッジも今ではおしゃれなエリアとなり、二人の部屋にもちょっとした値がつくようになっていた。 内覧会を開催することになるが、その前日、年老いた愛犬が急病を発症、成功確率6割の手術を受けることに。 さらに近所でテロ騒動が起きて…。

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原作はジル・シメントの小説「眺めのいい部屋売ります」。モーガン・フリーマンダイアン・キートンのアカデミー俳優が共演する。

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夫婦の愛情、テロや人種差別などの問題、老いと生きる意味など、いろいろなテーマがミックスされた作品。

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小説の原題” Heroic Measures”は「思い切った手段」のことで、医療の世界では「リスクが高いが、他に手段がなく講じられる措置」を指す言葉だそうです。

本の表紙にもなっていますが夫妻の飼うワンちゃんが椎間板ヘルニアにかかり成功確率が低い手術(Heroic Measures)を受けます。また老いのために愛する住居を売りに出すことも思い切った決断(Heroic Measures)であり、Wミーニングになっているようですね。

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モーガン・フリーマンダイアン・キートンは息が合った演技。二人の若い時代を演じる役者さんにはプレッシャーだったろうな。

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夫婦の姪で、やり手の不動産エージェントを演じたシンシア・ニクソンのコミカルな感じが良かった。

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いいドラマだけど優等生すぎて退屈だな…。

天邪鬼かな?

※今年265本目の映画鑑賞。

リオ・グランデの砦

リオ・グランデの砦              1950年

ジョン・フォード監督

物語

リオ・グランデ河のほとりにある砦に、指揮官ヨーク中佐の息子ジェフが一兵卒としてやってきた。砦ではまさにインディアンとの激しい戦闘が繰り返されていた。ジェフは父親の見守る中、わずかな手勢で初の勝利を得る……

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「アパッチ砦」「黄色いリボン」に続く、ジョン・フォード監督の騎兵隊3部作の最終作。

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フォード監督は西部劇ではなくアイルランドを舞台にしたコメディ「静かなる男」を作りたかったのだが、「静かなる男」の興業的な失敗を予想した映画会社から、西部劇をもう一本撮ってヒットさせたら「静かなる男」を撮らせるという条件を提示されて「リオ・グランデの砦」を作った。

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映画会社の予想に反し「静かなる男」は興行的にも成功し、アカデミー賞の監督賞も受賞します。

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結果的ですが、「静かなる男」を撮る前に「リオ・グランデの砦」でモーリン・オハラジョン・ウェインのペアリングを試すことが出来たのは良かったでしょうね。宣伝も「リオ・グランデの砦」のモーリン・オハラと射てますしね。

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作品内容ですが、騎兵隊ものとしては「アパッチ砦」や「黄色いリボン」に比べると地味です
が、夫婦愛や家族関係というドラマで西部劇ファンでなくても楽しめる良作。僕的には三部作の中で一番好きだなぁ。

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※今年264本目の映画鑑賞。

海外特派員

海外特派員                           1940年

アルフレッド・ヒチコック監督

物語

  第二次世界大戦の危機が叫ばれるヨーロッパ。アメリカの新聞記者ジョニーは、国際平和条約を提唱するオランダの政治家ヴァン・メイアと英国の平和運動の指導者フィッシャーを取材するためロンドンに赴く。フィッシャーとその娘キャロルに会ったジョニーは、ヴァン・メイアを追ってアムステルダムで開かれる平和会議に向かう。そこで彼が目撃したのは、ヴァン・メイア暗殺の現場であった。

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ヒッチコックのハリウッドにおける二作目のサスペンス映画。アカデミー賞で6部門にノミネートされる。

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議事堂前で暗殺されるヴァン・メイア。海外特派員としてヴァン・メイアを取材しようと現場に来ていたジョニーは、犯人を追って事件に巻き込まれていく。

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車で逃走する犯人を追って、風車のある村へ。ジョニーはここで、死んだはずのヴァン・メイアに会い、事件の真相へと近づいていく。

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主演ジョエル・マクリー。

ヒチコックはゲーリー・クーパーに主演依頼をしていたが、当時スリラー映画は二流扱いだったため断られた。ゲーリー・クーパーは公開された映画を観て主演を断ったことを後悔したそうだ。

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ヒロイン役ラレイン・デイ。当時19歳。この映画の出演で脚光をあびる

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ハラハラドキドキの見せ場がたくさん。ヒチコックのアイデアが詰まったサスペンスの名作ですね。

※今年263本目の映画鑑賞。

わたしは、ダニエル・ブレイク

わたしは、ダニエル・ブレイク      2016年

ケン・ローチ監督

物語

59歳のダニエルは、イギリス・ニューカッスルで大工の仕事に就いていたが、心臓の病でドクターストップがかかる。失職した彼は国の援助の手続きを進めようとするが、あまりにもややこしい制度を前に途方に暮れる。そんな中、ダニエルは二人の子供を持つシングルマザーのケイティと出会う。

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福祉の切り捨てで困窮するイギリスの社会底辺を描いた作品。第69回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞。文部科学省特別選定作品。

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この映画は切ない。

イギリスの話だけど、ちょい先の日本を見ているようで恐い。世界中で起きている格差の問題を考えさせられる。

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貧乏人「最低賃金を上げろ」

金持ち「お前らの貪欲が経済を破壊するのだ。」

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「なんか文句あるか?」

僕は社会主義者でも共産主義者でもないけど、行き過ぎた資本主義にも疑問を感じるね。

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暗く重たい内容ですが、いい映画でした。

※今年262本目の映画鑑賞。

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遂に、262本!(イチローの偉業を思いつつ)

ミッドナイト・イン・パリ

ミッドナイト・イン・パリ         2011年

ウッディ・アレン監督

物語

アメリカ人作家のギルは婚約者イネスとともにパリを訪れ、しばらく滞在する。ある真夜中、酒に酔ったギルは迷路のようなパリの路地で驚くべき人々に遭遇する。作家のアーネスト・ヘミングウェイスコット・フィッツジェラルド、画家のパブロ・ピカソサルバドール・ダリなど。真夜中の洒落たカフェで、世界中から集ったアーティストたちと語り合いながら、ギルの人生観は次第に変化していく…

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ウッディ・アレン監督。アカデミー賞では脚本賞を獲得した。

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ギルは婚約者イネスと共にパリを訪れるのだが、ロマンチストなギルと現実主義的なイネスは反りが合わないことも…。

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ギルが酒に酔ってパリの路地で迷っているところに現れたアンティークカー。乗客に誘われギルはパーティー向かうのだが、そこは1920年代の芸術家らが集うサロンだった。

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スコット・フィッツジェラルドと妻ゼルダ

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アーネスト・ヘミングウェイ

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パプロ・ピカソ

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サルバドール・ダリ

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ルイス・ブニュエル

ウッディ・アレンはSight & Sound誌で、ブニュエルの「ブルジョワジーの密かな愉しみ」を名作10作品の一つに選んでいましたね。

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ギルはピカソの愛人アドリアナに一目惚れしてしまう。現代にいる婚約者とタイムスリップした過去で出会った女性との愛に葛藤するのだった。

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絵葉書のように美しいパリ。この映画を観るとパリで暮らしたくなります。お洒落なロマンチック・コメディでした。

映画の隠し味と言うか、スノッブ共和党支持者への批判、懐古主義的に対する風刺など、ウッディ・アレンらしいウィットも効いていますね。

※今年261本目の映画鑑賞。

仁義なき戦い 広島死闘編

仁義なき戦い   広島死闘編         1973年

深作欣二監督

物語

 昭和27年、呉。村岡組と大友連合会は再び抗争。刑務所入りしていた山中は大友連合会から凄惨なリンチを受けて裏切りを選び、村岡組の組員となった…

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仁義なき戦いシリーズ」の第二部。北大路欣也の所属する村岡組と千葉真一の大友組の抗争を描いた作品。

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本作の主役は北大路欣也。鉄砲玉として利用される哀しいヤクザを演じています。

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大俳優の北大路欣也のイメージしかなくて、若い時のイメージの方が「らしくないぜ」だね。

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大友演じる千葉真一も凄すぎ。

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やはり、こっちのイメージがしっくりくる。皆んな、いい歳の取り方したよね。

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ラスト、山中が警察に追われるシーンがいい。深作欣二の演出、北大路欣也の演技が光る。

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忘れちゃいけない梶芽衣子。ヤクザ社会の女を好演していました。

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菅原文太は本作では脇役。中途半端にドラマに絡むより出ない方が良かったような。シリーズものでは仕方ないけどマンネリ感も。三作目を観るかどうか迷うな…。

※今年260本目の映画鑑賞。

仁義なき戦い

仁義なき戦い                 1973年

深作欣二監督

物語

   復員兵の広能は、当時まだ小さかった山守組の身内となり、敵対する土居組組長を暗殺するが、途端に山守組長から邪魔もの扱いされて自首せざるをえなくなる。その後勢力を拡大していく山守組内部で、坂井ら主流派と有田ら反主流派の内部紛争が始まっていく。やがて仮出所した広能は、山守組長から紛争に勝利した坂井の暗殺を促されるが…

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ヤクザ映画の元祖。 戦後広島のヤクザ抗争の渦中の人物であった美能組元組長・美能広三の獄中手記を基にした、飯干晃一の小説を原作に深作欣二監督を映画化し大ヒットとなる。

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梅宮辰夫さんがお亡くなりました。

菅原文太松方弘樹ら、この映画で活躍した昭和の名優らが次々と亡くなって寂しいですね。

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松方弘樹は当時30才。39才の菅原文太に負けないよう、顔にしわを作る努力をしたとか。

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田中邦衛はヤクザ映画には向いていないと思うけど、強面ばかりじゃ退屈だしね。いい味出しています。

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ラストシーンいいね。

ヤクザ映画は嫌いなので敬遠していましたが、完全に食わず嫌いでした。混沌とした戦後を生きた男たちの生き様を名優らが熱く演じた傑作でした。

※今年259本目の映画鑑賞。