夏目漱石の「吾輩は猫である」が発表されたのは1905年(明治38年)、明治の終わりの頃に近代的な小説が生まれている。社会に文学を楽しむ中流階級が育ってきていた。
恐れずに言えば「坊ちゃん」なんかは漫画的だ。アニメ版「坊ちゃん(本宮ひろ志版)」なんかイメージが近い。
明治時代は架空の世界ではなく、現実世界にヒーローがたくさんいた。幕末や明治維新には、新撰組、勝海舟、坂本龍馬、西郷隆盛など、後に小説や映画の題材になる人物がたくさんいる。
明治初期の娯楽や報道は、講談や歌舞伎や舞台劇が担っていた。1878年(明治10年) - 西南戦争を題材にした実録物『西南雲晴朝東風』が記録的な大当たりとなっている。
1895年(明治28年)新派の川上音二郎が日清戦争を題材にした「威海衛陥落」の演劇上演が成功した。火薬などを使用したリアルな舞台演出が人気になったらしい。
余談だが、同時期に歌舞伎でも日清戦争劇を演じるがリアリティがなく不評に終わった。それを機に歌舞伎は時事的な演目を敬遠して古典劇として特化していく。
日露戦争では、乃木 希典、東郷平八郎などが国民的のヒーローになっている。
難攻不落の旅順を攻略した乃木大将軍。今では乃木坂46の方が有名だ。
日本海海戦でロシア艦隊を破った連合艦隊司令長官 東郷平八郎。戦後の軍国主義批判から日本では忘れられているが、トルコではビールの銘柄にもなるヒーローだ。