野良犬 1949年
物語
終戦直後の東京を舞台に、拳銃を盗まれた若い刑事がベテラン刑事と共に犯人を追い求める姿を描く。
古いサスペンス映画なので退屈かと思ったが、不思議に面白い。
犯人と刑事は、両方とも復員した元兵士で同じような経験を持っている。犯人が盗まれた拳銃で凶行を行うたびに、刑事は自分の影が起こした事件のように思い苦悩する。犯人の銃弾は七発あり最期のシーンまでハラハラさせる。
ベテラン刑事(志村喬)と主人公の若い刑事(三船敏朗)のコンビがいい。相棒みたい。
聞き込みなど地道な捜査で犯人を追いかける刑事が、今見ると新鮮な感じ。
淡路恵子さん、当時16歳でも大人っぽい。二重にびっくり。
ラストシーン。緊迫する刑事役との対決の場をコントラスティックなお花畑に設定し、優美なピアノ曲と子供達の牧歌的な歌声を背景においています。対位法と言うらしいですが、なかなか印象深いシーンになっています。
エピローグは警察病院でのベテラン刑事との会話で終わります。ベテラン刑事が主人公に「でもね、窓から外を見たまえ。今日も、あの屋根の下でいろんな事件が起こるだろう」と言いいます。主人公は窓辺に立って外を見ますが、外の景色は映されません。
当時、映画を観た方は、窓の外に、戦争の傷跡が残る街並みや人々の生活、そして、向かうべき明日が映ったのではないでしょうか。
今年鑑賞した映画19本目(除く本能寺ホテル)