金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

小説 : とんび

とんび     重松清

 物語
広島県を舞台に、妻を失った父親が息子の反抗期や学校でのトラブル、受験、自立、意外な女性との結婚など様々な困難に直面し、不器用に戸惑い、悩みながらも息子の幸せを第一に考え、周囲の支えを受けながら男手一つで息子を育てた父の半生と親子の絆を描いた作品。

f:id:tomo2200:20180302143158j:image

テレビドラマ(TBS版)を放映されていたときに、並行して小説を読んだのだけど、映像の方が記憶に残っている。

重松清さんの作品は泣けるものが多い。うっかり読むと涙が出てきます。(本当に)

f:id:tomo2200:20180302165508j:image

テレビドラマの第四話「秘すれば花」が死ぬほど泣けた・・・
小料理屋「夕なぎ」主人たえ子が、まだ赤ん坊の時に離婚して別れた娘に会うシーン。母とは名乗れず、他のお客らと会話をしながら、結婚を前にした娘にそれとなく言葉を贈る。

 

「社長、商売続けるコツってのは、忘れることだと思わない?今日が一番大事。次に大事なのが明日。昨日や一昨日はもうどうでもいい。そうやってかないと、何にも長続きしないわよねえ。一番よくないのは恨みをためることよね。結局、なんにもうまくいかなくなるし、恨んだらダメよね。恨みは時間の無駄。ね?」

 

 「ちゃんと大変だったことメモしとくのよ。大きくなったらね、それちゃんと子どもに見せて覚悟させんの。でないと、子ども持った時に大変なことになっちゃうから。大変なのはね、育てること。それに比べたら、産むのなんて屁みたいなもんよ。感謝しなきゃいけないのはね、育ててくれた人。」

 

 「照雲ちゃん、親不孝中の親不孝は、逆縁なんだって? 親は先に死ぬのがいいのよね。死んだほうがいいのよね。子供の幸せ見届けたいっていうのは、親の我儘なのよね。見なくていいのよ。その子が幸せだったら、それでいの。」

 

 「二人共、どうしてハマグリが婚礼に使われるか知ってる? ハマグリはね、上の殻と下の殻がピッタリ合うの。他の貝ではこうはいかないのよ。こんなにピッタリなんだから、最期まで添い遂げないといけないよって。苦労があっても、短気を起こさないでって。」

 

書いている内に泣けてきたよ‥。