金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

活きる

活きる         1994年

チャン・イーモウ監督

物語

1940年代、資産家の放蕩息子、福貴(フークイ)は賭博に明け暮れていた。妻の家珍(チアチェン)の再三の説得にも耳を貸さず、ついに全財産をすってしまう。賭博相手の龍二(ロンアル)が家屋敷を没収しにくると、父はショックで悶死し母は寝込んでしまった。福貴は賭博をやめ龍二に借金を頼むが、龍二は金の代わりに自分が今まで生業としていた影絵芝居の道具を渡す。福貴は家族を置いて、影絵芝居の巡業に旅立つが……。

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1993年に余華が発表した同名小説を原作とした中国映画。第47回カンヌ映画祭審査員グランプリを獲得。

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1940年代の国共内戦、50年代の大躍進時代、そして60年代の文化大革命など、激動の時代を生きた夫婦を描いていて、中国版の「喜びも悲しみも幾歳月」という感じです。

政治的な混乱、家族の不幸も続いてツラい物語ですが、中国の方には「生きる」ことも困難だった過去を振り返って、現在の発展を感慨深く思うのではないかと思います。

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この映画は世界で高く評価されましたが、文化革命の時代の後ろ向きに描いたことから、中国では上映禁止、監督は2年間撮影禁止になったそうです。「表現の自由」が制限される国は嫌ですね…。

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脚本、配役、映像、全て素晴らしい。今まで観たチャン・イーモウ監督の作品の中で一番好きかもしれない。感動しました。

※今年47本目の映画鑑賞。