金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

大脱走

大脱走                                1963年

ジョン・スタージェス監督

物語

第2次大戦下のドイツ。捕虜の脱走に頭を悩ますドイツ軍は、脱走不可能な収容所を作った。連合軍の兵士たちは、収容されるやいなや脱走を敢行、しかし失敗する。だが将兵たちは知恵を絞り、なんと計250人の集団脱走を計画する。そして実行当日…

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胡麻麦茶じゃない。エルマー・バーンスタインが作曲した「大脱走マーチ」、このテーマ曲はワクワクしてくる。

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直線的なドラマ。脱走を図る連合軍兵士と彼らを収容するドイツ兵のシンプルな対決構図で物語が展開される。前半のスリリングな脱走劇から、後半はバイク・アクションなどの派手なシーンに続く。シンプルなストーリーで無駄がない。

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スティーブ・マックィーンが渋い。存在自体が作品が引き締める。こういう役者さんは貴重だな。

この映画は子どもの頃に見ていますが、改めて見て、不朽の名作だと思った。

 

※今年172本目の映画観賞

 

シェルブールの雨傘

シェルブールの雨傘          1964年

ジャック・ドゥミ監督

物語
フランス北西部の港町シェルブールで、ささやかだけれど美しい恋を育む自動車修理工の若者ギイと傘屋の少女ジュヌヴィエーヴ。恋に恋する年頃のジュヌヴィエーヴに未亡人の母夫人は心配顔。出かけるたびに嘘をつきながらもジュヌヴィエーヴはギイと出会う時間が嬉しかった。だがある日、アルジェリア戦争の徴集礼状がギィに届き、二人は離れ離れとなってしまい―

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曲は知っていますが、映画は観たことがありませんでした。カトリーヌ・ドヌーブ主演の名画です。

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カトリーヌ・ドヌーブさん主演。セリフは全てオペレッタ(フランス語の響きが美しい)で演じられます。戦争によって離れ離れになったカップルの別れと切ない再会を描いた作品。

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言ってしまえばメロドラマですが、ラストでギイとジュヌヴィエーヴが再会するシーンには熱い感情が込み上げます。別々の家庭を持ち元には戻れない二人ですが、子どもにつけた名前から二人の愛は本物であった事がわかります。切ないですねー。感動しました。

※今年171本目の映画観賞

 

メアリと魔女の花

メアリと魔女の花       2017年

米林 宏昌 監督

物語

田舎町の赤い館村に引っ越してきた11歳の少女メアリは、7年に1度しか咲かない不思議な花「夜間飛行」を森の中で発見する。それは、かつて魔女の国から盗み出された禁断の花だった。一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、魔法世界の最高学府・エンドア大学への入学を許されるが、メアリがついたある嘘が大きな事件を引き起こしてしまう。

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金曜ロードショーを録画して観ました。昨年公開れたスタジオ・ポノックの旗上げ作品です。

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ほとんどジブリみたい。観ていると、魔女の宅急便ラピュタハウル千と千尋、ポニョ、宮崎駿作品の様々なシーンが頭をよぎります。

オリジナリティの点では厳しい評価になりますが、初めて見る子どもには、楽しく良質なアニメ作品のように思いました。

※今年170本目の映画観賞。

 

 

 

 

浮雲

浮雲              1955年

成瀬巳喜男 監督

物語

  太平洋戦争のさなか、ベトナムの占領地ではぶりをきかせていた富岡(森雅之)が事務員のゆき子(高峰秀子)と結ばれる。しかし戦後帰国した彼には妻があり、やがて女は外国人の愛人にまで堕ちていくが、それでもふたりは別れられないままズルズルと関係を続けていく…

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成瀬巳喜男監督の最高傑作と言われる作品。戦前から戦後という時代背景で、どうにもならなくなった男、そうと知っていながら男を諦められない女を描いた作品。男女の愛は理屈ではないのですね。大人の映画でした。

※今年169本目の映画観賞。

 

 

 

 

 

ティファニーで朝食を

ティファニーで朝食を       1961年

ブレイク・エドワーズ監督

物語

朝の宝石店ティファニーの前でデニッシュを食べる娼婦のホリーは、引っ越してきたばかりの駆け出し作家ポールと出会う。酔っぱらいから逃げて部屋へ来て、 眠り込んでしまった彼女にポールは興味を抱く。ホリーの夫ドクが彼女を連れ戻そうとするが、彼女は断ってしまう。ホリーがブラジルの外交官と結婚するのを 知って傷ついたポールは、小説を売って得たお金をつきつけるが…

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言わずと知れたオードリー・ヘップバーンの名作です。監督のブレイク・エドワーズは「ピンク・パンサー」シリーズを手掛けた監督です。そう言えば「ムーン・リバー」も、ピンク・パンサーのテーマ曲を作曲したヘンリー・マンシーニ

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シリアスなシーンもあるのですが、コメディタッチでストーリーは薄め、その分、オードリーの魅力が引き立ちます。オードリーを観るための映画ですね

※今年168本目の映画観賞

 

波止場

波止場                          1954年

エリア・カザン監督

ボクサーくずれのテリーは、兄チャーリーが波止場を仕切るボスのジョニーの命令で仲間を殺す現場を目撃。その妹イディの嘆き悲しむ姿に心動かされ、バリー神父に真相を告白するが、やがてチャーリーも殺害されるに及び、ついに法廷に立つ決意をする…

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エデンの東」や「欲望という名の電車」のエリア・カザン監督がピュリッツアー賞に輝く原作を映画化した人間ドラマ。

1954年のアカデミー賞にて作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞など8部門を受賞した。

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港湾を仕切るギャングに立ち向かう港湾労働者の物語。巨大な悪に対して、良心に従い勇気を持って行動することを訴える。

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三人の登場人物。バリー神父、恋人のイディ、兄のチャーリー。それぞれが、正しい選択、正しい行動は何かをテリーに問う。テリーは葛藤しながら正しい道を選択する。

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今まで見た映画で、これほどストレートで力強い作品はなかったな。勧善懲悪なんだけど、上から目線でも、価値観の押し付けもないのがミソだろう。マーロン・ブランドの侠気もグッとくるね。

 

※今年167本目の映画観賞。

 

 

 

 

 

 

 

 

放浪記

放浪記                   1962年

成瀬 巳喜男 監督

物語

行商人の子として各地を渡り歩き、成長してからは東京でカフェーの女給などを務めつつ、詩などをしたためる。やがて彼女は詩人・福地と結婚するが、その生活は貧しく辛いものだった。林芙美子の自伝を元にした映画。

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「放浪記」が出版されたのは1930年。映画のほとんどは戦前の物語だけど古臭さを感じない。たぶん主人公(林芙美子)の自由奔放な生き方とか、孤独感とかが、現代に生きる人と共通するものがあるからだと思う。

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この映画は、高峰秀子さんの演技が凄い。姿勢や表情、しゃべり方まで役作りが出来ていて、林芙美子の強かさが良く表現されていた。監督の演出もあるだろうが、役者の演技力なしでは成り立たない。

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ラストシーンは、後年の林芙美子が描かれる。売れっ子作家となり生活も裕福になるが、一方で飢餓感から解放されない内面も見える。

是でも非でもない終わり方なのであまりピンと来ないが、成瀬監督は彼女の内面を、公開当時のまだ戦後復興過程にある日本人の心象風景と重ねて、その解釈を観る者に委ねたのではないかと思いました。

※今年166本目の映画観賞。