影武者 1980年
物語
武田信玄の影武者として生きた一人の男と、主人の遺言を守りながら戦場に散っていった家臣たちの辛苦を描く。
「乱」と並び、後期の黒澤映画を代表する作品。製作途中で資金不足になるがコッポラやルーカスの援助で完成させた。
カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、興行的にも成功した。
冒頭シーン。長回しで舞台劇を思わせる始まり。映画全体を通してアップのシーンが少ない。絵巻物や舞台のような演出。
夢のシーン。カラフルで幻想的な映像。
勝頼の出陣を制止するように諏訪湖にかかる虹。不吉な兆として描かれる。
絵画を思わせるようや合戦や戦場のシーン。ビジュアルに対するこだわりを感じる。
当初、武田信玄役の勝新太郎が降板して、仲代達矢が信玄役を演じた。勝だったら、どうだったろうと思ってしまう。
感想
「七人の侍」や「隠し砦の三悪人」のような痛快な娯楽作品ではないが、壮大なスケールで描いた歴史スペクタクルは見もの。「影武者」が公開された年、黒澤監督は70歳。この歳にして新しい映画芸術に挑戦して、世界に評価される作品を創造できたことには驚かされる。
今年25本目の映画観賞