金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

いぬやしき

いぬやしき     2018年

佐藤 信介 監督

物語

定年を間近に控える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は会社や家庭から疎外された日々を送っていたが、ある日突然、医者から末期ガンによる余命宣告を受け、深い虚無感に襲われる。その晩、突如墜落事故に巻き込まれ機械の体に生まれ変わった彼は、人間を遥かに超越する力を手に入れることに。一方、同じ事故に遭遇した高校生・獅子神皓は、手に入れた力を己の思うがままに行使し始めていた。

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奥浩哉の原作漫画の実写化作品。監督はコミックの実写化で定評のある佐藤信介。主演は木梨憲武佐藤健

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コミックの実写化って、原作ファンを取り込めるので興行的にはリスクが少ないようだけど、ファンゆえに評価は辛口になる傾向があると思う。

佐藤信介監督は原作イメージを壊さず実写としての良さを出すのが上手い。大ヒットした「キングダム」や大泉洋をキャスティングした「アイアムアヒーロー」など実写化ものの安定感が抜群だ。

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木梨憲武の演技が意外に良かった。前半の悲哀感のある演技は上手い。後半は、仮面ノリダーだけど、俳優の木梨憲武ってアリだと思いました。

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原作の再現は上手ですね。こういうとこ手を抜かないのがファンサービスですね。

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映画の見せ場は新宿を舞台にした犬屋敷と獅子神のバトル。和製マーベルのようなB級感は否めませんが、特撮のクオリティは高かったと思います。

※今年50本目の映画鑑賞。

もやもや日記:デッド・ゾーン

米軍制服組トップ、トランプ氏暴走懸念し中国側に連絡

 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が、中国共産党中央軍事委員会連合参謀部の李作成参謀長に対して、当時のトランプ大統領が中国に戦争を仕掛ける恐れがあると2回も非公式ルートで連絡していたことが分かった。米紙ワシントン・ポストが14日伝えた。

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どこまで本当かは分かりませんが、ミリー将軍トランプ大統領の暴走を恐れたのは事実でしょう。越権行為になっても核戦争を防ぐ覚悟だったのだと思います。

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1983年に公開された「デッド・ゾーン」みたいですね。スティーブン・キングが原作、デヴィッド・クローネンバーグ監督が制作。事故で不思議な能力を身につけた青年が世界を危機から救う話です。

 

「核ミサイル発射の誤報」から世界を救ったソ連将校 スタニスラフ・ペトロフ

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こちらも戦争を防いだ英雄。

1983年9月26日、ソ連のレーダーにアメリカから飛来する核ミサイルが映ったが、同氏がコンピュータの誤報と判断して上部への報告を止めたことにより、核の報復攻撃による大惨事から世界を救った。(本当の話です)

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当日発売された少年ジャンプ。あやうくリアル世紀末になるとこでしたね…。

 

来るべき戦争

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朝鮮半島か台湾か、来るべき戦争は米中戦争に発展する可能性が高い。核抑止力から大国同士は戦争しないというが、中国は独裁国家だ、リーダーの独断で開戦する可能性もある。

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アメリカみたいに、誰かが止めてくれればいいんだけどね。

おしまい

友だちのうちはどこ?

友だちのうちはどこ?

アッバス・キアロスタミ監督

物語

 授業が終わり、教室で隣の席の子が駆け出して転んだ。その手当をしてやった主人公の少年は、自分のとよく似た彼のノートも一緒に持って帰ってきてしまう。その日も遅刻して、おまけに宿題を忘れて、先生にキツく叱られたばかりの隣の席の子に同情し、少年は自分とはまるで反対の方角に住む彼にノートを届けることにしたのだが……

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友だちのノートを間違って家に持ち帰ってしまった少年がノートを返そうと友達の家を探す話だ。

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大人たちは少年を助けてくれない。ノートを返しに行くより、宿題や家の手伝いをするようにいいつける。

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友達のいるポシュテ村は、少年にとっては初めての土地。村人に友達の家を尋ねるが分からず、あっちに行ったり、こっちに行ったり…

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友達の家はなかなか見つからない、少年の紆余曲折を象徴するようなジグザグ道。人生の縮図がここにある。

友達の家を探すだけの話だけど、「映画って、これでいいのだ、こうでないといけないのだ。」と思わせる。キアロスタミ監督、凄い!👏

※今年49本目の映画鑑賞。

穴/HOLES

穴/HOLES                          2003年

アンドリュー・デイヴィス監督

物語

先祖のおじいちゃんがヘマをしたせいで、呪いをかけられ、不幸の家系になってしまったと信じる少年スタンリー。彼はある日、運悪く無実の罪で捕まってしまう。そして、自分の潔白を証明することをあっさり諦め、少年矯正施設行きを受け入れる。しかし、そこは想像を絶する過酷なところだった。...

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全米図書賞、ニューベリー賞他受賞をしたルイス・サッカーの児童文学をディズニーが映画化した。監督は「刑事ニコ」「沈黙の戦艦」などのアンドリュー・デイヴィス監督、脚本にルイス・サッカー自身が参加。

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曾祖父さんにかけられた呪いのエピソードから代々続くスタンリー家の因果など、伏線の張り方や、スタンリーとゼロの友情などが面白い作品です。

僕は小説の方を先に読んでいましたが、これは"ネタもの"なのでストーリーを知らない方が楽しめるかなと思います。

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主人公のスタンリーは、まだ若いシャイア・ラブーフ(後にトランスフォーマーで有名になりますが)。ゼロ役はクレオ・トーマスが演じています。

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矯正施設の所長はシガニー・ウィーバーさん。やっぱりワイルドな役が似合うな。

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テントの仲間たち。ジグザグ、Xレイやアームピットなど、映画はビジュアルでキャラが伝わりますが、彼らのエピソードが語られないの残念だな。本のいいとこ、映像のいいとこ、一長一短ありますが、どちらも楽しめました。

※今年48本目の映画鑑賞。

活きる

活きる         1994年

チャン・イーモウ監督

物語

1940年代、資産家の放蕩息子、福貴(フークイ)は賭博に明け暮れていた。妻の家珍(チアチェン)の再三の説得にも耳を貸さず、ついに全財産をすってしまう。賭博相手の龍二(ロンアル)が家屋敷を没収しにくると、父はショックで悶死し母は寝込んでしまった。福貴は賭博をやめ龍二に借金を頼むが、龍二は金の代わりに自分が今まで生業としていた影絵芝居の道具を渡す。福貴は家族を置いて、影絵芝居の巡業に旅立つが……。

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1993年に余華が発表した同名小説を原作とした中国映画。第47回カンヌ映画祭審査員グランプリを獲得。

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1940年代の国共内戦、50年代の大躍進時代、そして60年代の文化大革命など、激動の時代を生きた夫婦を描いていて、中国版の「喜びも悲しみも幾歳月」という感じです。

政治的な混乱、家族の不幸も続いてツラい物語ですが、中国の方には「生きる」ことも困難だった過去を振り返って、現在の発展を感慨深く思うのではないかと思います。

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この映画は世界で高く評価されましたが、文化革命の時代の後ろ向きに描いたことから、中国では上映禁止、監督は2年間撮影禁止になったそうです。「表現の自由」が制限される国は嫌ですね…。

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脚本、配役、映像、全て素晴らしい。今まで観たチャン・イーモウ監督の作品の中で一番好きかもしれない。感動しました。

※今年47本目の映画鑑賞。

 

靴磨き

靴磨き          1946年

ヴィットリオ・デ・シーカ監督

物語
戦後の混乱期、靴みがきをして生計を立てている二人の少年は、貸馬屋の馬を買い取る夢を実現させるため、闇商売の仕事を手伝い、それが元で逮捕されてしまう。
さらに背後にいる首謀者を白状させようと、なかなか口を割らない二人に取調官は少年の1人を拷問すると見せかけ、もう1人の口を割らす。一転して彼らの友情は壊れ、親友だった相手を憎むようになっていく。

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イタリア・ネオレアリズモの巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督の「自転車泥棒」と並ぶ、初期の名作。

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荒廃した敗戦国イタリアで、靴磨きなどで生計を立てる戦災孤児たちの物語。パスクアーレとジュゼッペの二人の少年は大の仲よしだが、犯罪に巻き込まれて投獄されてしまう。

弁護士が、少年達の問うべきは罪を裁くのではなく、孤児を生み出した社会の責任と訴えるシーンが印象に残る。

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分からないけど少年院を描いた映画って本作が最初かな…。

日本もそうだったが、終戦後、親を失った戦争孤児が路上に溢れたが、国も大人め彼らを保護できず、犯罪に走る子どもたちは排除・取締りの対象になったそうです。当時の様子を知らない自分には劇画的に見える物語だけど、この作品がレアリズモと考えると悲しい。

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映画に登場した馬は、希望のシンボルなのかと思います。ラストで、この馬が少年から去ってしまうシーンが印象的でした。絶望的ですが、未来への願いが残されているように見えました。

※今年46本目の映画鑑賞。

雑記 : ルパン三世 50周年

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https://lupin-pt6.com/

ルパン三世のテレビシリーズ開始から50周年を記念して制作された最新作、part6。

2021年10月より日本テレビ系にて全国放送開始日本テレビでは10月9日(土)24時55分より放送予定。

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今回、次元大介役声優の小林清志さんが引退されるそうです。唯一のオリジナルキャストの交替…50年間お疲れ様でした。

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声優さんの交替だと、ルパン役の山田康雄さんが亡くなった時はショックでしたね。ルパン=山田康雄でしたから、シリーズ終了かと思いました。

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https://moviewalker.jp/news/article/192013/

後継者の栗田貫一さんのルパン三世は初めは違和感がありましたが、今は、すっかり馴染んだ感があります。

 

僕の思い出に残るルパン

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ルパン三世 Part1

テレビ漫画という子供の世界にハードボイルドをぶち込んでましたね。子供ながら、チャーリー・コーセイの渋ダルいエンディングが好きだったな。

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劇場版第一作:ルパンVS複製人間

なんでも初めては印象に残ります。大味なストーリーで面白くないけど、当時はルパンが劇場で観れるだけで満足でしたね。

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劇場版第二作:カリオストロの城

一番は、名作「カリオストロの城」ですね。宮崎駿が描いた優しいルパンには賛否両論ありますが完成度は、未だにシリーズの最高峰だと思います。

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ルパン三世 Part3

印象に残ったのはルパンのピンク色のジャケット。セクシーな感じを打ち出したのが印象的でした。そこだけ…でも、尖ってる、斬新でした。

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劇場版第六作:DEAD or ALIVE

原作者モンキー・パンチが監督した作品。オリジナルの雰囲気が良かった。原作者曰く、銭形警部は本当はキレ者なのだ。

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ルパン三世 Part4

舞台がイタリアになったのが斬新だった。やり尽くし感もあるけど、まだ新しいルパン三世があるんだなと感心した。ちなみにPart5はフランス。インターナショナルですね。

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ルパン三世みたいに、原作者の手を離れて多くのクリエイターによって生命を吹き込まれた作品は珍しい。モンキー・パンチさんも亡くなってしまったけど生きていたら新しいルパン三世を楽しみにしたでしょうね。

おしまい