金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

1984年 セルジオ・レオーネ監督

物語

1920年代初頭のニューヨーク。ユダヤ系移民の少年ヌードルスは同年代のマックスと出会い、深い友情で結ばれていく。彼らは仲間たちと共に禁酒法を利用して荒稼ぎするようになるが、ヌードルスは殺人を犯し刑務所へ送られてしまう。1931年、出所したヌードルスはマックスらと再会し、裏社会に舞い戻るが……

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マカロニウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネの遺作となった作品で、ハリー・グレイの自伝的小説を原作に、ニューヨークのユダヤ系ギャングたちの栄光と破滅を、少年期、青年期、老年期の3つの時代を行き来しながら描く。主演はロバート・デ・ニーロ、音楽はエンニオ・モリコーネが音楽を担当。

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長い。僕が見たバージョンは完全版ですが3時間49分の長尺でした。前編・後編に分けてもいいボリュームです。

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一番好きなのは少年期のエピソードですかね。1920年代のNYを舞台に少年たちの友情や初恋などのエピソードなどがノスタルジックに描かれていて魅せられます。

デボラの少女時代を演じたジェニファー・リン・コネリーが妖精のように綺麗です。大人になったデボラ(エリザベス・マクガヴァン)に少しがっかりしたのは僕だけでしょうか。

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青年期の物語は、街のチンピラからマフィアへ成り上がっていくチームと、マックスとヌードルの微妙なズレが描かれます。禁酒法の廃止という時代の変化により二人のズレが大きくなっていきます。

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この映画には、いくつかのミステリーの仕掛けがあります。ほとんどの伏線が回収されますが清掃車とエンディングの笑みは観客の解釈に委ねられています。セルジオ・レオーネ監督自身のコメントは残されておらず、解釈には諸説有りです。

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自分なりの解釈ですが、ラストの笑みは事件を利用してマックスを殺害することに成功したことの笑みなのでしょう。このワンシーンで、レオーネ監督は、マックスとヌードルの愛憎の深さやドラマの表裏を表現したのだと思います。

※今年4本目の映画鑑賞。

ドライブ・マイ・カー

ドライブ・マイ・カー   2021年

濱口竜介監督

物語

舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。

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村上春樹の短編小説を原作にした作品。カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞したほか、第94回アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門でノミネートされ話題です。劇場に観に行きました。

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予告編にありますが、妻を亡くし喪失感を抱えて生きる男と、ある過去を持つドライバーの女の物語です。ネタバレしないようストーリーの紹介はこの程度にしますが、喪失感やとりかえしのつかない過去に人はどうやって向き合うべきなのかが作品のテーマです。

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主演の西島秀俊さん、三浦透子さん、素晴らしかったです。役に魂が入っていました。

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3時間の長尺ですが、登場人物の関係の変化が丁寧に描かれた緻密な脚本で納得の3時間。カンヌやアカデミー賞で話題になるだけのことはあります。素晴らしかった。👏

※今年3本目の映画鑑賞。

雑記: 金魚の近況

暫く投稿せず、すみません。このブログではリアルライフは書かないことにしているのですが久しぶりなので近況を書きます。

風邪をひきました。😷

始めは喉の痛みから、咳が出始めました。熱はありませんでしたが、咳は2週間くらい続いていたと思います。オミクロンの可能性もあり他人に感染させないか心配でした。

仕事が忙しくなりました。💦

時間はあるのですが、リアルからバーチャルのスイッチが切り替わらず、ちょっと鬱ですかね、なんか映画を観る気力が湧かずにいました。

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そんな中、唯一観ていたのが「鬼滅の刃」。作画のクオリティ高い!原作を超えています。👏

オリンピックにもやもや。

ロシアのウクライナ侵攻など不穏な空気が漂う中に始まった北京オリンピック

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政治とオリンピックは別といいながら、旧共産圏の復活ショーのようです。

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もやもやしますが、選手の方には頑張って欲しいです。🇯🇵

そうだ映画を観よう🎬

一月映画を観なかったら、沸々と鑑賞欲が湧いてきました。😤

現実にかまけてはいけない!まだまだ面白い映画はたくさんある。

投稿の方もぼちぼち再開します。m(_ _)m

おしまい

 

未知との遭遇

未知との遭遇       1977年

スティーヴン・スピルバーグ監督

物語

第2次世界大戦で使われた戦闘機が、メキシコの砂漠で発見される。奇妙なことに、その機体は消息を絶った当時の姿を保っていた。そんな中、インディアナポリスで原因不明の停電が相次ぐ。復旧作業に向かった電気技師の男は謎の飛行物体に遭遇し、その正体を探ろうと熱心に調査を進めていく。

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スティーブン・スピルバーグ監督が人類と異星人の接触を描き世界的ヒットを記録したSFドラマ。SF!第50回アカデミー賞2部門受賞。

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人生で3回目の鑑賞になります。一回目は劇場で、二回目は追加編集された特別編をビデオで観ました。今回は元旦に東京MXで放送していものの録画です。

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いや、いや良かったです。

緊張感のある脚本、眩い光の演出、宇宙人との交信に使われた音楽。全てが新鮮な感じがしました。3回観て、新たな発見があります。

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今更ですが、この映画はラストより、そこに至る過程をハラハラドキドキしながら観る体験型の映画なんですね。今は多くの作品がコピーしていますが、ジョーズ未知との遭遇など、新しいいエンターテーメントのスタイルを創り出したスピルバーグの才能は凄いですね。

※今年2本目の映画鑑賞。

漫画:手塚治虫の山

手塚治虫の山  

山と溪谷社

手塚治虫の山・自然・動物を舞台とした漫画を集めた短編集。収録作品は以下10編。

魔の山」「山楝蛇」「山の彼方の空紅く」「モモンガのムサ」「モンモン山が泣いてるよ」「ブラック・ジャック -昭和新山-」「雪野郎」「落盤」「山太郎かえる」 「火の山」

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短編ながら一作一作が深い。いまさらだけど手塚治虫は天才だなと思う。収録された漫画では以下の四作が特に印象に残った。

魔の山

山登りを趣味とする青年、間ケンは、遭難者を救出するため、ベテランクライマー佐佐木とともに多羅魔岳の難所「牛の舌」へ向かった。

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手塚治虫がこんなジャンルも描いていたのは知りませんでした。ハラハラするようなクライミングだけでなく、彼の生い立ちや遭難者の救出の顛末などドラマが良い。キレのある作品。

モモンガのムサ

ムサは千二百歳のクスノキのてっぺんで生まれた。生後すぐ父に捨てられたが、下の枝に引っかかり、クスノキの声に励まされてひとり生き延び成長。母兄弟との再会を経て、猟師の息子久(きゅう)と苛酷な闘いを展開する。

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動物を主人公にした作品ですが、ファンタジーではなく、生きることをテーマにしたリアルな作品。長編でも使えるアイデアなのに、短編で出してしまうところが凄いな。

山太郎かえる

両親を失い人間に拾われたクマの山太郎は、目の前を走る蒸気機関車のしい六(C62)と仲良くなり、やがて汽笛のように吠えるようになる。鎖で繋がれていた山太郎は、友だちのしい六に励まされ、自由への道を踏み出そうとするが…

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機関車と熊の友情を描いた作品。漫画では擬人化という手法は珍しくないけど、機関車と熊という組み合わせが斬新だな。

火の山

時は第二時大戦中。北海道壮瞥村に流れ着いた元工員の荒くれ井上昭和(いのうえあきかず)は、急速に生成する昭和新山の観測者三松正夫の助手となった。三松が昭和新山の観測と保護に生涯を懸けた記述は実話に基づく。

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昭和新山と三松正夫の実話を、架空の人物、井上昭和を通して描いた作品。ストーリーテリングが巧いなぁ。

※今年一冊目の漫画読書。

にがい米

にがい米         1946年

ジュゼッペ・デ・サンティス監督

物語

イタリアの水田地帯にギャングの男女が逃げ込んだ。二人は出稼ぎ農婦の群れに姿を隠すが、そこで一人の女性と出会う。彼女はギャングの男にそそのかされ、米の強奪を図るが......

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イタリアの稲作地帯を舞台にしたサスペンス作品。本作でデビューしたシルヴィア・マンガーノは強烈なセックス・アピールで人気スターとなる。

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シルヴィア・マンガーノ。ブギウギを踊り脇毛を見せる姿は当時としては強烈で、日本では「原爆女優」と呼ばれたそうです

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ギャングの男女を演じたヴィットリオ・ガスマンとドリス・ダウリング。なんか、スタイリッシュ。

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映画のカットはムチムチしたイタリア女がお尻を突き出して田植えしたり、泥レスリングになったりする。日本のポスターの「凄まじい肉体迫力‥」という広告はかなりゲスですが、(なぜマンガーノを大きくするw)この作品のコマーシャルなところを言い得てます。

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ネオレアリズモ的な雰囲気なのに、ムチムチの通俗的なメロドドラマ。「にがい米」だけに食えない作品でした。m(__)m

※今年1本目の映画鑑賞。

 

謹賀新年

金魚のうたた寝

気が付いたら、丸々.5年くらい投稿していました。6年目に入ります。

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今年の目標も、映画を観たり、漫画を読んだりすることです。コロナ禍も続いていて、大変な世の中ですが、マイペースで行きたいと思ってます。

本年もよろしくお願いします。