パピヨン 1973年
物語
胸に蝶のイレズミをしていることから“パピヨン(蝶)”と呼ばれていた男。パピヨンは組織に殺人の罪を被されて、無実を訴えるが終身刑の判決を受けて南米ギアナの刑務所に送られる。パピヨンは脱獄の資金を得るために、ギアナへの移送船に乗り合わせた同じ服役囚のルイ・ドガという男に目を付ける。ドガは国債偽造で逮捕された男で、当初パピヨンはドガと取引することで逃亡費用を稼ごうとするが、やがて二人は無二の親友となり、固い友情と奇妙な絆で結ばれてゆく。しかし、自由を求めるパピヨンは、13年にも亘って脱獄を繰り返すのだった…。
仏領ギアナのデビルズ島に流刑となったものの脱獄してベネズエラ市民権を得たアンリ・シャリエールの自伝小説を映画化した作品。スティーブ・マックィーン、ダスティン・ホフマンの2大スターが共演した。
しかし、スティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマンの共演とは何と豪華なこと。名作「大脱走」のマックィーンが演じるパピヨンは鉄板だが、それ以上にダスティン・ホフマンの胸が熱くなるような演技が素晴らしい。
2017年に、チャーリー・ハナムとラミ・マレックを主演に本作のリメイク作品が作られています。未見ですが、オリジナルと比べるのは酷だろうね。
脚本にダルトン・トランボが参加している。赤狩りでハリウッドを追放され投獄された経験を持つトランボがパピヨンに自身を重ねて脚本を練ったことは想像に難くない。パピヨンの反骨のスピリッツが強く伝わる演出でした。
また小説ではあまり大きくないドガの存在を主役クラスにして、2人の友情をテーマにしたのはトランボのアイデアだそうです。
いい映画でした。感動的なヒューマンドラマなのに1974年の第46回アカデミー賞では作曲部門でジェリー・ゴールドスミスがノミネートしたのみ。流行りの脱獄モノと過小評価されてしまったのでしょう。もっと評価されてもいい映画だと思います。
因みに、この年の作品賞は「スティング」。最多ノミネートはホラーの名作「エクソシスト」でした。
※今年5本目の映画鑑賞。