金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

青い山脈

青い山脈       1963年

西河克己 監督

物語

ある地方の町で、伝統を重んじる女学校に転校してきた寺沢新子宛に届いたラブレター。新子に反感を持つ生徒が書いた偽物だった。新子は信頼する島崎先生に相談するが、それはいつしか町全体を揺るがす大騒動にまで発展してしまう…

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原作は石坂洋次郎の青春小説。映画としては2度目のリメイク作品。吉永小百合浜田光夫高橋英樹らフレッシュな日活スターが活躍する。

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吉永小百合さん、ぽっちゃりしていて可愛いですね。当時「サユリスト」と呼ばれる熱狂的なファンが現れたことは有名ですが、戦後アイドルの先駆けと言えますね。

六助役の浜田光夫さんは吉永小百合さんと数多くの「日活純愛路線」映画で主演した人気スターです。少しひょうきんな感じが好印象。

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島崎先生(芦田いづみ)。民主主義や自由な社会の建設を目指す進歩的な新任女教師。男女が一緒にいるだけで風紀の乱れと中傷される戦前からの文化・風潮を厳しく批判します。

 原作小説は戦後すぐにベストセラーになりました。価値観や社会の変化に戸惑いながらも、民主的で進歩的な社会を歓迎する大衆に支持されたのだと思います。

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1949年版も鑑賞しました。脚本は大きく変わらないですが、島崎先生と寺沢新子のキャスティングには差があります。1949年版では島崎先生を演じる原節子さんをメインにしているのに対して、1963年版は寺沢新子を演じる吉永小百合をメインになっています。

 60年代は戦後ベビーブームに生まれた子供たちが、ティーンエイジャーになって若者文化を作った時代です。映画もそんな若者たちをターゲットにリメイクされたのだと思います。(オリジナルの方が評価が高いのですが、僕は1963年版の方が爽やかで好きです。いいリメイクだなと思いました。)

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歌も有名で作品のタイトルは知っていましたが、映画を観たのは初めてです。「青い山脈」なんてタイトルなのでもっと文学的な作品なのかと思っていましたが、普通の青春映画。コミカルなところも多くて面白かったです。旧弊を批判した作品ですが、現代の荒んだ世界から見ると平和だな…、古き良き時代への郷愁を感じました。

※今年45本目の映画鑑賞。