東京の空の下には 1955年
蛭川伊勢夫監督
物語
東京のとある下町の片隅で、易断所を経営する1人の中年の占い師。彼は仲良くなった酒場の女将に惹かれていたが、彼女に対し金のある別の男との結婚を勧める。やがて別の男性と婚約した彼女と共に旅立つことを決意するも、予想外の出来事が起き、2人は運命に翻弄されていく。
井伏鱒二の小説「吉凶うらなひ」を原作にした映画。主演は、宇野重吉、山田五十鈴、三橋達也。
原作小説すら廃刊されて、映画も売れそうにもない。こんな作品が鑑賞できるのもサブスクのお陰です。
易者の藤川透馬と、バーのママの徳子、透馬の息子の藤川九一（三橋達也）を中心に周辺の人間模様を描いた人情物です。
易は当時は結構盛んだったみたいですね。劇中に登場する加納大剛は実在の易学者の加藤大岳がモデルだそうです。映画製作にあたり宇野重吉は加藤大岳から演技指導を受けています。
これは今更ですが、宇野重吉さんは寺尾聰さんのお父さんなんですね。初めて知りましたが顔立ちが良く似ています。（そっくり）
ドラマは最初はほのぼのとした生活風景で、たいした事件もなく退屈でしたが、後半には様々な展開があります。
戦後の就職難の様子や、当時の上野周辺の風景も見ることができ、なかなか貴重なフィルムでした。
※今年40本目の映画鑑賞。
