金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

アルジェの戦い

アルジェの戦い    1966年
ジッロ・ポンテコルヴォ監督

物語

50年代初頭のフランス統治下のアルジェリア。カスバのチンピラだったアリはカデルが指揮する地下組織の独立運動に身を投じる。54年からら本格化した反政府運動は各種のテロを通じて一般市民をも巻き込んでいく。事態を憂慮したフランス政府は57年に対テロ組織専門のマチュー将軍を派遣、徹底した抗ゲリラ作戦が展開された。組織の指導者となっていたアリも次第に追いついめられていく…

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1954年から1962年にかけて行われたフランスの支配に対するアルジェリア独立戦争を描いた作品。第27回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。当時、映画祭に集まったフランス人の記者や関係者が”反仏映画”として反発し一斉に退場し、フランスでは長い間、本作の上映が禁止されていた。

第二次世界大戦中はナチスに協力していたイタリアがフランスの植民地政策を批判した映画を作り、ご当地、ベネチア映画祭でグランプリじゃ、フランス人が怒るのも無理ないけどネ)

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ポンテコルヴォ監督は、ジャーナリスト出身で、目撃者や当時者の証言、残された記録からリアルな劇映画としてドキュメンタリー・タッチで描いた。抵抗運動のリーダーのアリ(Ali la Pointe)も実在の人物。

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マシュー将軍も、実在の人物ジャック・マシュー(Jacques Émile Massu)をモデルにしている。

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アルジェリアの蜂起からフランス政府も植民地政策を見直さざる得なくなり、他のアフリカ諸国も次々と独立し、1960年は「アフリカの年」と呼ばれている。この映画は歴史的な決着が分かっているだけに気楽に見れるが、現在も変わらぬテロの構図について考えさせられる。映画的にも歴史ドキュメンタリーとしても素晴らしい。

※今年141本目の映画鑑賞。